Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

来日ツアーNo. 1イケメンダンサー フリーデマン・フォーゲル シュツットガルト・バレエ団

『オネーギン』『白鳥の湖』で初日の主役をつとめるのはフリーデマン・フォーゲル。

カンパニーを代表するプリンシパルとして来日を重ねてきたフォーゲルくんが、

今回の公演にかける想いを会見で語りました。

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ーー1998年の入団以来一貫してシュツットガルトでキャリアを積んできた、このバレエ団の魅力とは?


 シュツットガルトでは、クランコを始めとする全幕作品に加えて、毎シーズン、新作のクリエーションに関わることができます。

 他のバレエ団やガラに出演して視野を広げることも大切ですが、ホームと呼べるバレエ団に所属していないと、系統だったレパートリーを踊れません。私達のレパートリーは、実に多彩。さらには、同僚のダンサー達は、その人それぞれの個性を持ち、まるで違う言葉を話しているかのように異なるイメージを生み出す。そこに身を置くことによって、自分を成長させることができる。

それが私にとってのシュツットガルト・バレエ団です。


ーーー看板演目の『オネーギン』。持ち役はオネーギンの友人レンスキーで、初主役は4年前とか?


 シュツットガルトの男性ダンサーにとって、『オネーギン』は神聖な作品。ようやく踊るチャンスに恵まれ、感無量でした。完全燃焼できる役柄。レンスキーも重要な役ですが、オネーギンと決闘した結果、物語の途中で突然、命を落としてしまう。出番が終わった時、満たされない気持ちが残っていました。

 でもオネーギンは最後までドラマに関わり、思い悩み、タチヤーナに思いの丈をぶつけます。その思いは成就しなくても、役を全うする。幕が降りた時、全てを出し切り、自分が空っぽになったように感じてしまいます。

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ーーこの作品は、なぜ、観客を魅了するのか。


 私達の人生そのものを映し出すから。確かにオネーギンという人物は、好人物ではありません。厭世的で、田舎のブルジョア達を見下し、タチヤーナの美貌に目を留めても、彼女の芯の強さは見過ごし、他人を傷つけてしまう。でも、人間は善人ばかりでなく、誰しも、同じような状況に遭遇したことがあるはず。オネーギンの狭量さに共感できなくても、彼の生き方に心を動かされるのだと思います。


ーーラスト、タチヤーナとオネーギンが踊るパ・ド・ドゥは圧巻です。タチヤーナ役とパートナーシップの構築は。


 チャイコフスキーの叙情的な音楽にのって、演劇性豊かなクランコ振付を踊るーーパートナーと二人で役に飛び込み、二人の世界を築き、二人の物語を紡ぎ出す。感情を吐露するだけでなく、クランコの高度な振付を踊りこなさなくてはなりません。十分に稽古を重ねて互いを理解し、信頼関係を築くとエネルギーが湧き出し奇跡的な舞台を生み出せると信じています。

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ーークランコ版『白鳥の湖』について。

 振付の大筋は伝統的なプティパ=イワーノフ版に準じていますが、よりドラマチックに改訂されています。様式的なマイムを使うかわりに、何気ない立ち居振る舞いで登場人物の心の動きを描き出します。

 王子はオデットを見つめ、彼女に駆け寄り、手を差し伸べ、そっと抱き寄せる。型通りの演技ではなく、ディテールを積み重ねて、細やかでリアルな表現に昇華していきます。ユルゲン・ローゼの美術も見事。第三幕の宮殿のシーンでは、舞台装置が屹立し、王子を追い詰めているよう。オディールとのパ・ド・ドゥの音楽編成も独特で、視覚と聴覚の両方から、オディールが王子を翻弄する様子を具現していきます。

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ーー王子とオデット姫が悪魔に打ち勝つのではなく、命を落とすのでもない、独自の幕切れについては。

  二人は永遠に結ばれることはない。この物語の悲劇性を増す解釈だと思います。終幕のパ・ド・ドゥもクランコのオリジナリティ溢れる振付で、最後に待ち構えている悲劇を際立たせる。クランコの深い洞察力に圧倒されます。

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ーータマシュ・デートリッヒ氏の新芸術監督就任について。
 来シーズンのレパートリーは、エキサイティング。アクラム・カーンやイリ・キリアンが新作を振り付け、マクミランの『うたかたの恋』を初上演します。日本公演は、タマシュの就任後、初の海外公演です。新監督の船出を素晴らしいものにするためにも、最善を尽くすよ。

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