Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

アクラム・カーン版『ジゼル』にあなたは何を思う?

イングリッシュ・ナショナル・バレエ団(ENB)が2016年秋に上演した

アクラム・カーン版『ジゼル』。

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好評だったこの作品、4月末に英国で映画上映されました。

日本でも今月、放映予定です。追ってご紹介いたします。

kotorio.hatenadiary.com

DVD化、あるいは日本での公開なども、視野に入ってきますよね。

芸術監督で、主演も務めたタマラ・ロホさんとアクラム・カーンさんの

インタビュー動画が公開されています。

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ジゼルを再構築すること、また、古典作品をリメイクすることに対する

二人の真摯な意見が聞けて、とても印象的な3分程度の短いインタビューです。

ロホは、ジゼルの愛と赦しを描いているだけでなく、社会的な状況の下で

人はどう生き、何を選択するのか問うた作品だと述べ、

カーンは、現代移民問題を取り上げ、持てる者と持たざる者の差異、

搾取の現状を描いていると語っています。

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2幕、廃工場が舞台となっているのもびっくりしますよね。

これは「より経済的な効率を求めて低賃金な場所に移転していった結果」

劣悪な条件下で働いていた人々が簡単に棄民となる現代社会を描いているとのこと。

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初演時がチケット完売で多くの人が観られなかった幻の作品、

と言うだけあって、今回、念願かなって映画をみた方からの評が

いくつか地元紙に出ています。

ショー的な要素、またストーリーの分かり易さと演劇的な側面を

マシュー・ボーン作品になぞらえ、評価するものが多い一方で、

・アルブレヒトの存在の薄さを指摘する声(でもほら、しっかり出てますよ)

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あるいは、製作当時クローズアップされていた「欧州難民危機」を、

カーン自身の(バングラディッシュ系英国人という)問題と置き換え、

古典を再構築した背景設定が受け入れがたい観客もいるようでした。

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ニューヨークタイムズ紙、ガーディアン紙が舞台評を載せていますね。

Akram Khan’s ‘Giselle’ Coming to Chicago - The New York Times

Akram Khan's refugee Giselle: 'A real woman in a catastrophic situation' | Stage | The Guardian

個人的には、ここまで大胆な解釈ができ、それを振り付けにうつせるのは、今、

アクラム・カーンしかいないのではないかと思っています。

また、タマラ・ロホは非常に頭のいい女性であり、ダンサーであり、経営者です。

現役時代から、すでに引退後の芸術監督の職を狙って、

スペインで舞踊芸術の修士号を履修中であることを、聞いた覚えがあります。

舞台、リハをこなしながら、実はスペインと往復し、

通信授業と論文執筆など、ひそやかに、しかし綿密に、着実に、

彼女の計画を一寸の狂いもなく進めていたよう。

(引退の時に、各種マスコミでも語っていました)

改めて、この作品は、いろいろ解釈が分かれるものの、

傑作の一つで間違いないと思います。

欧州、米国のみならず、日本へもツアーが行われ、社会的な問題提起へと

繋がることを期待しています。

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