Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル 音楽と振り付けの密接な関係(3)

現代ダンスをリードし続ける俊才として、アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル

本拠地ベルギーのみならず、各国をツアーで回っています。https://philharmoniedeparis.fr/sites/default/files/styles/minisite_primary_image/public/header_we_sans_texte_anne_teresa_de_keersmaeker.jpg?itok=5RwhY_C0

2010年、2015年、そして2017年と度々来日し、異なる作品を上演してきました。

このうち、さいたまで見たのが2010年のマーラー大地の歌」だったと記憶しています。(そのあとは私自身が渡仏してしまったため)

https://www.philharmonie.lu/media/img/2/4157/Anne_Teresa_de_Keersmaeker-10-photo_Rosas-28x18cm_COL_300DPI_RGB.jpg

同時上演された当時の新作『3Abschiedドライアップシート』は、そういえばフランス人振付家のジェローム・ベルとの共同制作でした。

マーラーの『大地の歌』の最終楽章「告別」を使って、ケースマイケルのソロダンスがアンサンブル・イクトゥスとメゾ・ソプラノ演奏を「身体化」します。

ジェローム・ベルがところどころにその型を破って「別れ」が繰り広げられるというコラボでした。

この作品について、これまでの、ケースマイケル本人のフィガロ紙でのインタビューや公演パンフといった資料をかき集め、まとめました。

http://www.airfrancemagazine.com/sites/default/files/mag-244/201711NU012%20Anna%20K.jpg

1)マーラーの『大地の歌』を選んだ理由

ケースマイケル(以下AD):昔から耳に馴染んでいる音楽だから。振り付けに使おうとは思っていなかった。19世紀ロマン主義の音楽は、 シェーンベルクの『浄められた夜』以外、敬遠している。

音楽にもとずいて振りつければ当然ロマンチックになる。ロマン主義の音楽を使うと、音楽もダンスも二重にくどくなる、そうでしょう?

ところが「大地の歌」を聞き直した時、音楽を再発見したような衝撃を受けた。https://www.impulstanz.com/media/sys_autoimg/61aa70a96b7f17f313c860dfda77d89a.jpg

(上記、ピナ・バウシュそっくりじゃあありませんか!?)

2)フランス人振付家ジェローム・ベルとの共同制作について

AD:最終楽章「告別」をどうダンスにすべきか、ひとりで仕事をしていた。

これほど音楽に魅了されておきながら、混乱してしまい、ジェローム・ベルに助言を頼んだ。この音楽の本質は何か。どのように対等な関係を結び、ダンスで表現できるか。

二人で質問をキャッチボールし合い、答えを探すプロセスそのものが作品となった。

3)ジェロームさんは西洋思想を専攻し、ロジカルな作風。ケースマイケルさんは東洋思想に造詣をおもちだ。この対比は?

AD:そこなんです。思考のベースが正反対だからこそ、お互い補いあってパズルが組み合わさった時の感覚です。西洋医学東洋医学が互いを補い合うのと似ている。ふたりともダンサー兼振付家としてお互いの知識や経験をわかちあうことができた。

4)「告別」ではアルトの独唱が詩や生、自然を歌い上げるが。

AD:マーラーは、孟浩然や王維の詩をもとにした歌詞を使った。後世のドイツ人が訳したので正確な翻訳ではないにしろ、マーラーが意図的に用いたもので、2年後に他界するマーラーの思いを代弁している。

「3Abschiedドライアップシート」(3つの別れ)にも反映している。それと自分自身のプライベートな出来事も。

私はダンサーなのでそれをありのまま語るのではなく、舞台で表現する。そこで、私自身が踊る作品になってしまったというわけ。

5)ベルギーを代表する現代音楽「アンサンブル・イクトゥス」との共演

AD:長い付き合いで、彼らの演奏と共に幾つもの作品を上演してきた。

ジョルジュ=エリ(指揮)は、余分なものを付け足さず、丁寧にマーラーの原曲を尊重してくれる。

6)旧作を上演する理由は

AD:初演から25年を経ても作品としての必然性を失わず、自分たちが何者であるかを語れると感じたから。

初めて見る人だけでなく、25年ぶりに見る人もいるだろう。ダンサーにとっても楽しい経験になるはずだ。

私自身は、いかに創作したのかを振り返り、語り口の多様性を見直すことができた。新作を作ることと、旧作をリバイバルすることは、互いに補完し合う。

作品と自身を新たな視点で見つめ、感覚をシャープにできた。

私にとって振付は、人間が、いま、生きているこの世界と偽りのない関係を持つ術。

肉体を駆使して踊ることは、言葉にならない抽象的な考えに形を与える最上の方法。

私は肉体と表現の可能性を信じている。だから、観客が作品のなかに自身を見出し、何者なのかを考え、自分の生きざま、生きている意義を考え直すことができたら。

私の作品によって、濃密で知的、精神的な経験のきっかけとなってくれたらうれしい。

https://cdn.radiofrance.fr/s3/cruiser-production/2015/06/482ceaca-13f6-11e5-bab6-005056a87c30/640_anne.jpg

【kotorioからのひとこと】

最後のあたり、「その辺の」バレリーナやダンサーでは、一生聞くことのないセリフ。だから振り付け家って、面白い。自分の頭で思考しているから。

 わからない作品も、こうやって「振付家」を知ると、興味が湧いてきます。

違った角度から、作品を見ることができるようになります。それって面白い体験じゃありませんか?舞台を観るって、ぼけっと座ってることじゃあないんです。

観ている側も、ホンキの一本勝負、ものすっごいエネルギーを使うことなんです。

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ちなみにビヨンセが彼女の作品を「コピー」したという騒動もありましたねぇ。

おっ、これがケースマイケルの頭の中かーー数学教師だわ、と思ったら大間違い。

インドのアーユルヴェータの東洋思想をもとに、舞台でのダンサーの配置や振り付けの動きを解説します。これ、シリーズがあって、とても面白いんです。

世界一受けたい授業」とかいう番組ありましたよねえ、まさにそんな印象。

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このシリーズ、(5)まで続きますよ!あと2回、お楽しみに!