Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル 音楽と振り付けの密接な関係(2)

彼女がこれまでフランスでどのような評価を受けてきたか、ご紹介します。

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・ミニマルな音の強さがそのままダンスの強度につながる、音楽とダンスの相乗効果。
・音楽を視覚化したダンス
・スニ-カ-でのステップと動きの休止。ライトの効果もよい
・感情や伝統的なクラシックの体の使い方から離れた抽象性。 

マ-サ・グレアムのモダンダンスは「自我」を掘り込み、喜怒哀楽を表しました。

愛、憧れ、怖れ・暴力、人間の心理をタンツ・テアタ-で表現したピナ・バウシュ

世界でも数少ない女性振付家のケ-スマイケルを一言でいうならやはり

「音楽とのズレ」「楽曲性」をダンスにそのまま持ち込んだこと、かもしれません。

彼女の作品を「黄金比(1:1618=5:8)」で分析している研究があります。

説明すると長くなるので省略しますがーーー永遠に繰り返す不思議な比率・黄金比

ケ-スマイケルは、実際、この黄金比を時間に応用して振付けに生かそうとしていた、という説も。

彼女の作品が非常に数学的にみえるのも、あながち的外れではないようです。

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そういえば、ポストモダンの後期(1972年ごろ)に、スティーヴ・パクストンが合気道に想を得て、コンタクト・インプロヴィゼ-ションーー「触れ合いの即興」とでも訳しましょうかーーを始めたという歴史をご存知ですか?

一言で言うと「体のこなれ方」、つまりコントロ-ルやキ-プに対し、体の軸を斜めにすれば、関節を解放した腕や脚は垂れ下がるといったような、「脱」の感覚をダンスに取り入れつつあった時代です。

ニューヨークで、そうした「身体解放」の時代の空気を学んだのが、ケ-スマイケルだったのでしょう。

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身体の余分な力が抜けると、次への動き、静止といった動作を素早く行うことができ、それが彼女の作品の「音楽の視覚化」で重要な役割を果たす事になっています。

単に人が動く時、身体的な存在感にも「強度」を感じさせるのは、身体の解放ということだけで答えがでているのでしょうか。

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ここからは非常に個人的な見解になりますが、もう一つ、ポスト・モダン・ダンスに影響を与えた、戦前ドイツの前衛芸術学校「バウハウス」からアメリカへ渡った「スコア」の影響もあるのでは。

スコア、はみなさんご存知のように通常楽譜の事を意味します。が、ダンス界では、前衛芸術運動「フルクサス」など、直接的な振付けや演出より、「スコア=指示」による「コンポジション=構成」が重視された、という出来事を意味します。

バウハウスが、ロシア革命のころに起きた前衛的構成主義ロシア・アヴァンギャルド」から得た運動です。

「一度、床に手を付く、すぐ立ち上がる」「全員渦を巻くように走る」

振付師からの「スコア(指示)」があり、ダンサーたちはそれぞれの「解放された身体」で、表現するーーーというのが彼女の手法。

クラシックのテクニックに対抗した「ミニマルな動き」であるモダンダンス。

浮遊感や忘我といった人間の感情を身体の「脱」によって表現した、

そのパートナーが彼女にとっては「音楽」であった、という事でしょうか。

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下の動画は42秒と短いですが、身体の「脱」の感覚、スコア、という点に注目して見てみてください。

たとえば自分がダンサーだったらどんな「スコア=指示」を受け、それをどのような身体の可動域をつかって、表現しようとしたか。

そうやって見ていくと、ダンスって、最初わからなくても、だんだん「見えてくる」世界が広がってくるんです。

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