Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

ウィーン国立バレエ・ゲスト出演、マリインスキーのキミン・キムさん

ウィーン国立バレエ来日公演にあたり「海賊」にゲスト出演する予定の

キミン・キムさん。マリインスキーバレエ団のプリンシパルで、

世界のバレエ界でいまもっとも注目を浴びるアジア人ダンサーです。

f:id:kotorio:20150626145851j:plain Kimin Kim

ロシア・バレエの著名な指導者であるウラジーミル・キムとマルガリータ・クリークに師事し、ロシア・バレエの基本を会得。

まだ学生であった2011年にマリインスキー・バレエの研修生に。

その間に『海賊』のアリ役でマリインスキー・デビューを果たしているという恐るべき経歴の持ち主です。

ヴァルナ国際バレエコンクール1位、ペルミ国際バレエコンクールのグランプリなど世界中のバレエコンクールを総なめにし、早くから国際的な評価を得ています。

2012年11月、外国人として初めてのファースト・ソリストとしてマリインスキー・バレエ団に正式に入団し、翌年には、同バレエ団のプリンシパル・ダンサーに昇格。

その後はパリ・オペラ座バレエ団やアメリカン・バレエ・シアター(ABT)への客演など、世界中からのオファーが相次いでいます。

5月末のABT『ラ・バヤデール』にもゲスト出演がきまっています。

キムは、次世代らしい超絶技巧を持ちながら、古典バレエの品格を完璧に備えています。回転数やジャンプの高さ以上に、技術の美しさや、役柄としての在り方に重点を置いて研究熱心なダンサーというのは、いま、貴重な存在です。

そんな彼を、マニュエル・ルグリが見逃すはずはありません。「ぜひ自分の『海賊』を踊って欲しい」とラヴコールを送ったというのも納得できるでしょう。

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3月下旬、ウィーン国立歌劇場でルグリとキムによる初めてのリハーサルが行われたそうです。

キムはマリインスキー・バレエ団では何度も『海賊』のアリ役を踊っていますが、

ルグリ版ではアリ役が存在しないため主役コンラッドを演じます。

ほぼすべての場面に出演し、通常アリが踊る場面も担うこの役。

振付をさらうだけでも大変な時間ですが、3日のリハで全幕の振付指導を終了。

二人の相性が素晴らしく良いからこそ、成し得たのかもしれません。

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キムは「憧れの人ルグリ」の教えを一言たりとも逃すまいと、凄まじい集中力。

一方のルグリもオープンな心で、スポンジのように全てを吸収していくキムに、

エンジン全開で自身の知識や経験のすべてを与えます。

ルグリ版の特徴のひとつに、ルグリが追加したオリジナルの踊りがあります。

その中でも2幕に踊られるコンラッドとメドーラのパ・ド・ドゥは特徴的ですね。

『シルヴィア』の美しい旋律にのせて繰り広げられるアダージオは、抒情的でありながらヌレエフを思わせる複雑なステップで彩られます。

難易度が高いリフトもありますが、キムはサポートのレベルの高さを見せます。

「女性を美しく見せることが何より大切」と本人が言う様に、ロシアの大バレリーナたちに鍛えられてきたサポートテクニックは、女性の動きにぴったり。

力強い振付が特徴のヴァリエーションでは、183センチという長身と長い四肢が生み出す跳躍の伸びやかさに目が釘付けになるでしょう。

バレエの真髄を求め献身する、求道者のような二人が世代を超えて出会い、

創り上げる舞台。これまで見たことのない「ケミカル」な反応が生まれる気がします。

流派や世代を超え、継承されるバレエ芸術の奥深さが、きっと東京で見られるはず。

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海賊 *日本初演 
5/12(土)12:30開演
 メドーラ:ニーナ・ポラコワ
 コンラッド:デニス・チェリェヴィチコ
 グルナーラ:ナターシャ・マイヤー
5/12(土)18:30開演
 メドーラ:マリア・ヤコヴレワ
 コンラッド:キミン・キム(マリインスキー・バレエ団 プリンシパル
 グルナーラ:リュドミラ・コノヴァロワ
5/13(日)14:00開演
 メドーラ:オルガ・エシナ
 コンラッド:ウラジーミル・シショフ
 グルナーラ:橋本清
Bunkamuraオーチャードホール

ウィーン国立バレエ団 2018年来日公演 | Bunkamura