Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

「黒人バレリーナ」をあなたは受け入れますかーーーアメリカの光と影

ミスティ・コープランドをけなそうものなら即刻ラシスト呼ばわりされる。人種差別?と。

https://img2.goodfon.com/wallpaper/big/9/da/misty-copeland-dance-1913.jpg 

アメリカン・バレエ・シアター(ABT)初の黒人バレリーナ、そしてプリマにまで上り詰めたミスティ・コープランドさん。

貧困、シングルマザーと、バレエを続けられるような環境でない中、必死の努力でアメリカンバレエシアター入り。その活躍を「シンデレラストーリー」のごとく、マスコミが持ち上げた。

http://www.stylistic.fr/wp-content/uploads/2015/07/misty-copeland-le-lac-des-cygnes.jpg

自伝、ポスター、CM、レシピ本・・・完全にマスコミの寵児となった。中には彼女の本業を知らずにファンになった人もいるかもしれない。

誰もが心の中で問うている、でも口には出さない。

「彼女がもし白人だったら?」

肌の色、年齢、出身、経歴、全て隠して、プリマを務める真の技術の持ち主かどうか?

正直、クラシックファンなら「ノン」と言う人が多数ーーー。

https://i.pinimg.com/originals/89/8c/e7/898ce77881a85943b10c37b8c92a71b3.jpg

「Play the race card」

米国では、マイノリティであることを主張し、逆に有利な立場に立てる現実がある。

英国ロイヤルにだって、男性トップダンサーなら、カルロス・アコスタがいる。

ロホと組んだ「ロミオとジュリエット」では、まさか黒い肌のロミオ?あんなマッチョな14歳のロミオ?という声もあったけれど。

https://fm.cnbc.com/applications/cnbc.com/resources/img/editorial/2016/07/28/103826743-Misty_Copeland.jpg?v=1470064320

アメリカンバレエシアターは、ハリウッド俳優・女優のようなスター性のあるダンサーのひしめくことで有名なバレエ団。

私はここの「海賊」を観て泣いたことがある。あまりに奇跡的な、素晴らしい演技だったから。神をみてしまった、と思った、それがこのバレエ団の持ち味。

ミハエル・バリシニコフって知っていますよね?
映画や伝記などで、バレエファンでなくても名前だけは、という人も。
1974年に当時のソ連から亡命、彼を受け入れたのがこのバレエ団。
彼の公演は連日完売で、殆どロックスターかなにかのようだったらしい。

https://cdn-images-1.medium.com/max/1600/1*iXJagtfUrmOHsDE7W9TZ0A.jpeg
現在、どのバレエ団も経営赤字続き。アメリカンバレエシアターは特にスター不在。

英国ロイヤル、ボリショイなど、海外から呼び寄せ、なんとか体裁を保っていた、というのが実情。

それも保ちきれなくなった今、ミスティ・コープランドをバレエ団の顔に仕立て上げ、話題を集めるしかなかったのかもしれない。美談にしかならないのだから。

バレエ団にとって、メディアを動かすぐらいなんともないし、メディアだって、持ち上げるだけ持ち上げて、あとは放り出すのが彼らの仕事。

メディアと世論が作り上げたミスティのプリンシパル昇格。

映画やCM、本で活躍する彼女を一目見ようと、バレエではなく「ミスティを」観にくる人々。彼女の日はチケットが売り切れた。

彼女の舞台以外での演出は続いた。ブロードウェイ出演、自伝出版、オバマ大統領との会談まで。

「人種差別」ーーアメリカでは避けては通れない話題。ヨーロッパのそれとも違う、北米独特の単語。一方でアファマティブアクション(ハンディ側への優遇措置)により「アメリカはフェアなんだ」と逃れミノにしている感もある。

http://3.bp.blogspot.com/-_1v-r16_cZE/VZRiXoiNVTI/AAAAAAAAIjo/YhWHOjIGPpo/s1600/misty-copeland.jpg

ミスティ・ブームはいつまで続くだろう。

彼女の存在は次の世代の子供たちへ夢を与えてくれる。

一般の人々をバレエに関心を向かせ、経営に一役買ったかもしれない。

でもバレエは、芸術である。美しいか、美しくないか。技術が、その精神が、生き様が、表現者として、崇高なものであるか。