Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

パリオペラ座バレエ「オネーギン」ドロテ・ジルベールの回で解説 1幕

VENDREDI 23 FÉVRIER 2018 À 19:30
Onéguine
Eugène Onéguine Audric Bezard オーデリック・ベサール(プルミエダンサー)
Tatiana Dorothée Gilbert ドロテ・ジルベール(エトワール)

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Olga Muriel Zusperreguy ムリエル・ズスペルギー(プルミエ・ダンスーズ)
Lenski Jérémy-Loup Quer ジェレミー・ルー・クー(スジェ)

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Le Prince Grémine Florian Magnenet フロリアン・マグネット(プルミエダンサー)

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パリ・オペラ座の「オネーギン」は、「E.O」のイニシャル紗幕から始まる。デザインがシュトットガルト本家とは少し違う気がする。

衣装を縫っているオルガ、寝そべって本を広げているタチアーナ姉妹。ドロテは、夢見る文学少女タチアーナ役にしてはもうエトワールの貫禄オーラがありすぎて妹、という感じじゃない。この人の「ジゼル」は好きなんだけどな。
どうなんだろうこの役、と期待と不安混じりで見始めた。

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結ばれる運命の相手が鏡に現れるという遊びに興じるオルガ。背後に現れた婚約者、レンスキーの姿を認めて喜ぶ。
レンスキー役のジェレミーは2004年にオペラ座学校入りしたまだスジェの階級。2013年にコリフェ、2014年にヴァロナの金賞を受賞しているからそれなりに「路線」なのかと思っていたけど、昨日の配役がヤサオモテで、わたしのおばあちゃんが大好きっぽい顔で(なんというたとえだ)あまりに良すぎただけに比べちゃって、地味で地味で仕方がない・・・。

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タチアーナが鏡を覗き込むと映るのはサンクトペテルブルグから来たエフゲニー・オネーギン。洗練された物腰、都会育ちのスマートさにときめくタチアーナ。

2009年時のジョゼ・マルティネス相手に踊ったドロテちゃんだったら、とっても初々しかったんだけど、今はもう出産も経て、母になり(舞台上では関係ないのかもしれないが)エトワールとして女王の風格がありすぎてしまって、なんとも微妙な・・・。

f:id:kotorio:20180224214700p:plain 練習風景

昨日に比べ、ドロテ覗く3役の配役そのものが地味なので、オネーギン、どうしても昨日のスマートかつ気品のあるユーゴ・マルシャンと比べてしまう。
なんでドロテちゃん(もとい、タチアナ)がこの男に惹かれるんだ?って(笑)

オルガと友人の群舞のシーンは「やはりパリオペは最高峰だぁ・・・」とほっとする。振付け本家ドイツや原作ロシアのバレエ団の「オネーギン」でさえこうはいかない。f:id:kotorio:20180224215149p:plain

文学少女タチアーナに対し、オネーギンは彼女の本を奪い取るが、こんなくだらん本に夢中でつまらない小娘ーーとバカにしちゃう。

それでも大人なオネーギンへの憧れを募らせてしまうタチアーナ。ベッドに入っても寝付けず、手紙を綴る。ドロテの演技は一言で言うと「無難」。エトワールなんだから、とこちらがその「最高峰レベル」を要求しちゃっているのもあるし、それに完璧に答えちゃっている「つまらなさ」「予測可能さ」がどこかにある。つまりドロテはどこまでいっても「ドロテ」であって、意外性はもう出てこないか、というある意味「オワコン」感が胸をよぎる。

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全然けなしている訳ではないんです。技術も演技も全てが最高峰。パリオペラ座のエトワールの名にふさわしい。あの痩せすぎのデコルテも大好き。
だからこそーーもうこれ以上の物は彼女に期待しても出てこないかな、という一抹の寂しさ。

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鏡の中に、颯爽としたオネーギンの姿が現れる。
オネーギンはもう少し大人の知性的なオーラがないとまずいと思うのだが、なにぶん、スジェやプルミエダンサーでは難しい。技術的には洗練されているけれど、もう少し魔的な魅力(そっちに行っちゃいけないんだけどあー、いっちゃったー的な)が欲しいんですよね。

夢からめざめたドロテの演技もしかり、完璧で文句のつけようがないだけに、意外性、あっというサプライズもない。

 

1幕だけで長くなりすぎたので2幕、3幕と分けて解説、続きます。

しばらく「オネーギン」の魅力に迫ってみたいと思います。