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Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

ダニール・シムキン 2018-19シーズン ベルリン国立バレエ移籍へ

ニューヨークタイムズの記事によると、ダニエル・シムキンが来シーズン、ベルリン国立バレエへの移籍が発表されています。

www.nytimes.com

ベルリン国立バレエは、2018年6月に現芸術監督のナチョ・ドゥアトが退任予定です。それに伴い、振付家のサシャ・ヴァルツと、元スウェーデン王立バレエの芸術監督ヨハネス・オーマンの就任が内定しています。(オーマン氏は2018年、ヴァルツ氏は2019年に就任)

ニューヨークのグッケンハイム美術館で、自らがプロデュースする “Falls the Shadow” 公演中のシムキンは、ニューヨークタイムズのインタビューに「自分はもともとクラシック・バレエダンサーなので。ベルリン国立バレエでは、来シーズン、アレクセイ・ラトマンスキーが新しく古典の「ラ・バヤデール」を蘇らせます。とても楽しみです」と答えています。

加えて、北米では上演されることのないマッツ・エック、クリスタル・パイト、オハッド・ナハリン、ウィリアム・フォーサイスの作品を踊ることができるのも嬉しい、とのこと。

ABTでは「ゲスト・プリンシパル」としてシムキンは継続しますのでご安心を。

ベルリン国立バレエの公式発表はこちら

Press releases

サシャ・ヴァルツとヨハネス・オーマンは、シムキンの入団を心待ちにしているそう。「シムキンはこんにちの男性クラシックダンサーの中で5本の指に入るといっても過言ではないでしょう。芸術性と高度の技術があります。当バレエ団として彼を迎えることができ、とても嬉しいです」

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ダニール・シムキンは1987年10月12日生まれ、29歳。30歳を前にして、何か心境の変化があったのかもしれません。

ロシア人ですが、ヴィスバーデン州立バレエのダンサーであった父親にドイツで育てられました。ドイツ国籍を所有していますから、里帰りの意味もありますね。

ABT入団前はウィーン国立バレエのダンサーでした。ベルリン国立バレエのヤーナ・サレンコとはガラで共演経験も多くあります。

シムキン指摘するように、北米カンパニーではヨーロッパの先進的な(コンテンポラン)振付家と仕事をする機会はほとんどありません。

芸術的な環境としても、観客の成熟度も「ヨーロッパ」のほうが格段に恵まれているのをシムキンは肌で知っていたのかもしれません。欧州のガラに出演することが多い彼にとっては、ヨーロッパを拠点とする方が、移動・その他メリットがあったのだと思われます。

ベルリン国立バレエは、マラーホフ退任後に内部環境がガラリと代わり、揉め事も多く、退団するダンサーが後をたちませんでした。今、新しいカンパニーに生まれ変わろうとしているまさにその最中です。

古典レパートリーも保持し続けつつ、新たな振り付けも試みようとしている大きな改革のこの時期に、ベルリンへの移籍は英断でしょう。

シムキン、私は東京とベルリンで何度か見ましたがーー昔の記録ブログを見てみると、辛口批評しか書いてないですね。個人的に顔が好みではなく、全体から匂い立つものが感じられないダンサーなのです。

上野からの地下鉄の中でシムキンと一緒になったのですが、あまりの幼さに絶句した、とも(笑)。加冶屋さんとのドンキホーテの時だったと思いますが、あれほど不釣り合いなコンビもありませんでした。

若さだけが売りで、日本のエージェントにアイドル的に持ち上げられ人気を博した感がありますが、もともとクラシックの実力はあった人なので。30歳、もう子供の「シムキンくん」ではありません。一人の成熟したダンサーとして、良き30代を送ってくれるのではないかと、改めて、ベルリンに期待しましょう。