Subscribed unsubscribe Subscribe Subscribe

Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

別れの言葉は「à demain!」(また明日)

f:id:kotorio:20160601031712p:plain

人を見送りに空港へ行った。

何もかもが、終わるんだと思った。この3ヶ月の苦しみから、解放されるのだと思った。

もっと別れは切なくて、悲しい場面かと思っていた。シャルルドゴール空港に着くまでのRER線の中で、何を言おうか考えていたけれど、思いつかなかった。たった5日前のことが、もう大昔に感じられる。人は会わなければ忘れていく生き物。一緒に働いていたことすら、今では信じがたい。

チェックイン前に会うことができてよかった。手荷物では持っていけない「忘れ物」を渡そうと思っていたから。スーツケースに入れてもらった。10分ほど、外で話をできた。

 

あれだけ世話になっておきながら、まともな感謝の言葉も、別れの言葉も伝えられなかった。ただ「忘れ物」の中に入れた手紙を渡せたこと、これだけは言わなきゃと思っていた幾つかのことは、こぼさずに伝えられた気がする。

空港での最後の、貴重な10分をもらえただけで、そのことだけで十分だ。

そのことが、私の一生の思い出。

自分でも驚くほどに、冷静だった。おかしなものだ。一人だと、わんわん号泣していたのに。人前で泣けないんだ、強がる癖が、誰の前でも。

私は一人で大丈夫。これまでも、これからも、何も変わらないよ。ちゃんと伝えることができた。ほんとはもっと忠告してほしいこと、引き止めてほしいこと、いっぱいあった。話したいこといっぱいあった。でも、そんな哀しみは微塵もみせずに。いつものように。

正直、もう二度と会えない人たちだ。だからあえて、さよならなんて言う必要もないし、またどこかで会おうなんていったら大嘘になる。何も言わない、それがいい。

 

ーーーーと思ったら。こともあろうに、先を越された。

「à demain!」(また明日)ーーー彼らが現地で覚えた幾つかのフランス語の挨拶の一つ。そういって彼らは笑顔で手を振って、チェックインカウンターの向こうへ、旅立っていった。

ーーーまた明日ーーー そうだね、私たちには明日がある。今日が終わって、新しい明日が来る。その繰り返しだ。世界のどこにいても。

彼らの便が離陸の時間だ。もうペンを置こう。よい旅を。à demain、、、