Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

アニばら第34話今"テニス・コートの誓い" Le serment du jeu de paume

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英語版タイトルは「Now, the tennis court oath」です。1789年6月20日、歴史的に有名なテニスコートの誓い。

一言で言うと、虐げられた民衆がその力をますます集結させる。オスカル様の反逆がついに行動として現れる回です。
 
会議は大荒れ、それを表すかのように天気も大荒れです。びしょ濡れのまま警備に当たるB中隊。オスカル様の孤高なお姿に胸が痛みます。このところ画面は寒色一色。物語(議場内部)の進行がアランとアンドレの会話で語られる、というのも面白い。
それによると、ロベルピエールの演説により、貴族側のラファイエット公らが平民側に寝返った。「フランス政治は俺たち平民のものになるーー」というアラン、しかしこの大男をしても「少し疲れたな」「休みなしで一ヶ月半だ」「隊長どうした」「見回りだろう、さっき一人でベルサイユ宮のほうへ歩いて行ったから」というテンポのいいアンドレとアランの会話、男同士の何気ないシーンですが妙に惹かれます。「アンドレ」「ん?」「おめえの・・・あの隊長さんよ、ちょっと顔色悪いぜ」「・・・」」「ただの疲れならいいがな」アンドレ、おそらくは目のせいで、顔色の悪さにまで気がつけなかった。アランはそれを念のため伝えておいてやります。ちなみに「おめえの」文法的には所有格です。
オスカル様、どうも本当にお疲れのようです。「新しいフランスが3部会から生まれてくる。それが成功するよう、議会と議員たちを守るのが今のわたしの任務だ・・・頑張れオスカル」って自分で自分を奮い立たせて、ようやっと気力でもっている感じ。隊長だけに、部下の前では疲れのかけらも見せられないのだろうと思う。大の男でさえキツイものを・・・咳き込みながらしゃがみこむオスカル、口元を押さえた白い手袋に・・・血!!!
いつもならここでOPのち、とスムーズに進むのですが、オープニングの途中で白バラが赤く染まっていくシーンありますよね。それが先ほどのシーンと見事重なって・・・バラはバラはって歌ってる場合じゃありません。リアルタイムで観ていた全国の小学生、中学生たちは「なっ、なんかやばいかもっ、オスカル様、やばいことになってるかもっ」ってドキドキしながら、早くオープニング終われ〜って画面にしがみついていたんじゃないでしょうか。だって今まで怪我したり(8話、木の枝が刺さった)敵に襲われて刺されたり、って血を流していたことはありましたが、今度は咳き込んで血ですよ?!おかーさん!救急車呼んでぇ・・・って泣き叫んで暴れたちびっこも多かったんじゃないでしょうか。
 
もう天気も議会も我々視聴者の頭の中も大荒れで、取り合えず6月17日、平民議員たちは埒があかないもんで、国民議会(アッサンブル・ナシオーレ)を独自に名乗っちゃった。貴族や僧侶も合流しました。国王は「3部会の入り口を閉鎖せよ」→事実上の休会を申し渡すのですが、それをブイエ将軍から伝えられたオスカル様、正面切って反抗します「それはおかしい。3部会の決議で行われるはずのもの、いかに国王陛下のご命令でも」。この時、後ろにはアンドレとアランを部下として従えています。この3トップの風景が最近とても自然に見えていますね。ブイエ将軍「閉鎖であって解散でない」などと詭弁をのたまいますが「お言葉ですがブイエ将軍閣下、そのようなことは彼等に対する侮辱以外の何ものでもありません」とオスカル引きません。夕暮れの陽が、二人の対決を照らしています。「・・・(中略)違うかね、ジャルジェ准将」からついに「やめたまえオスカル!」までブイエ将軍の激怒レベルを上げてしまったオスカル様。「これは命令だ」と一方的に告げられます。部屋を出る間際、父は元気かという質問に「しばらく会っていません」と答えるオスカル様。これはこの一ヶ月半、ほとんど家に帰っていないオスカル様の激務を視聴者に知らせるためかと「オスカル様目線」で見ていたのだけれど、何回目かに見た時、これはむしろブイエ将軍の方が「王家に平然と反抗するようになった娘の行為を、父上はご存知なのかね?」という遠回しな表現なわけで、それに対するオスカル様の答えはあっていない=「父は父、私は私でございます」というところなのだろう。
 
7分。ブイエ将軍の部屋からでたオスカル様、うわぁー、弱り果てています。画面両端に黒く建物の柱、バックには大きすぎるほどの夕日に灰色の雲がかかっていきます。3人はシルエットとなって・・・オスカル様は柱に手をついて「どうしたものかな、アンドレ、アラン」と呟く。こんなオスカル様、初めて見た・・・・。原作ではこのシーンは、「そのような命令を私から兵士たちに与えろというのか!!」と言って、ちくしょー的な、確か椅子を蹴飛ばすかなんかして・・・って荒っぽいオスカル様の反応だったと思うのですが、アニメ版では一人での判断を保留し、部下2名の意見を求めます。なんだか非常に冷静、かつ人間的なオスカル様に描かれているように思います。この原作とアニメのオスカル様の行動対比は、今話の後半部でも見られます。
アランが「考えるこたねえよ、隊長」と口火を切ります。《命令》されたんだ、仕方ねえよ、と。「ただし奴らがきたねえ手を使えば使うほど、俺たち平民は燃えるってわけさ」
7分53秒、入り口を閉鎖され、ロベスピエールは君たちの代表(オスカル)と合わせてくれ、という。逃げも隠れもしないオスカル様、でも彼の論理はどう考えても正しく、返す言葉もない。オスカルだって、隊員たちだって、皆自分の感情を抑えて《命令》に従っているのだ。
ここはオスカル様がどう言葉を発するのかと思いきやーーー議員たちの中から「ジュ・ド・ポームへ行こう!」の声が上がる。jeu de paume、人々が飢えで苦しんでいるときに、こんな遊びをしてのうのうと暮らしている人もいたんですねぇ・・・。
「我ら国民議会は、国民のための憲法が制定されるその日まで、決して解散をしなぁーーーーいっ!!」と声高らかにロベスピエール、拡声器もマイクもなしで、あ、球技場だから声が響くのかもしれないですけれどね。
1789年、6月20日、これが歴史の教科書にもテストにも出てくる有名な「テニスコートの誓い」。
9分20秒、「言った通りだろ、隊長」とアランがシニカルな笑い。「虐げられてきた者は苦しめられれば苦しめられるほどその分燃えるのさ。お前さん方貴族にはそいつがどうしてもわからねえ」喧嘩売ってるわけじゃないんですよ。荒っぽいいつもの言い方だしつっかかってる風に聞こえるかもしれないけれど、アランっていつも隊長のことを考えて発言していると思う。オスカルの想像し得ないであろう平民の心理・行動を同じ平民たるアランの側から翻訳して手っ取り早く聞かせてやってる、とでも思えばいいのかな。隊長にとっての判断材料は多ければ多い方がいいに決まっているし。やたらシニカルなセリフばかりになるからどうしても視聴者としてはひやひやさせられることばかりだけれど、これが「彼なりの」働きだし、実際、かなりオスカル様の思考の手助けになっているはず。原作ではオスカル様の独白(モノローグ)で、「わからない・・・どうして最も弱い立場であるはずの彼らが、踏まれても踏まれても、立ち上がることができるのか」みたいな箇所があったと思います。実際、アランが指摘するように、貴族であるオスカルに(頭を使っていくら想像はできても)、彼らの思考過程は「自らの体験として」認識することができないのです。
 
翌朝。今回のゲスト・陸軍大佐ショワズイエ・ラ・ボーム大佐がブイエ将軍の手回しにより、議員入場の指揮をとることに。扉は一枚だけ開かれ、議員は一人ずつ中へ入ることが許された・・・って、あんた、入場だけで何時間潰す気なんですか??
ナレーションいいですねえ。「間も無く、その場の異常さに誰もが気付き始めた」平民は裏口へ回すよう言われていると平然とのたまうラボーム大佐から、紙をひったくるオスカルがいい。「君には見えないのか?ずぶ濡れになりながらじぃーっとここで待っている人たちを」「命令通りやっているだけだよジャルジェ准将」君だって命令通り扉閉めたじゃん、と言われてオスカル様いきなり胸ぐら掴んでます。そこへでた、この声、この人「やめたまえ。やめたまえジャルジェ君」そういやあロベスピエール大先生は、オスカル様が血気盛んで殴り合いにめっぽう強いってこと、前にパリの居酒屋で見かけちゃってるんですもんねーー(笑)
「僕らは濡れることなど何とも思わないし、雨など少しも冷たくはない。それに、僕らの情熱はいくら雨に打たれようと消えはしない。国民に選ばれてここにあるという誇りは、どんな侮辱にもどんな仕打ちにも揺るぎはしない。だがここで一つだけはっきり言っておこう、僕らは犬でもないし物乞いでもない。だから決して裏口に回ることはないだろう」
うおおおおお。キター・・・。
皆さんね、皆さんね、ロベスピエールがアニメでも、原作でも「革命を指導したのは所詮お前が権力を手中にしたかったからだ」という「悪役」としてインプットされていると思うんですけれどね、私は、あくまで、立ち上がった意思、民衆を扇動した熱い思い、、、、に嘘はないと思っているんですよ。だってアラスの村で(アラス亭おやじのレストラン)あった時も「死にかけてはいても、僕はこのフランスを愛している、救ってみせる」ってあんなに力強くいってたじゃあありませんか。彼は彼のやり方で、フランスをいい国にしようとしたんです。アニメでは彼の経歴はカットされていますが、原作ではベルナールの口から、ロベピが幼くして両親を亡くしたこと、必死で勉学に励んできたことーーーが語られていますし。法律家として、弱いものに味方し、正しい裁判しか引き受けない。貧しい相談者からは金をとるかわりに金銭を与えてしまうような、そんな人だったみたいです。はっきり言って、この時代に、これだけ民衆の心を代弁し、捉えることのできた指導者格はいなかったと思います。彼の失脚というのは要するに権力争いに敗れた、ということであり、それをもってしてロベピが悪人と決めつけることは私にはできなくて。むしろその時代に生きていたら、私もロベピ先生のもとで働いていたかもしれない。この「雨など少しもつめたくない演説」に、胸を打たれない人がいますか??もう全文書いちゃいましたよ、この自称「オスカル様至上主義ブログ」で、脇役のセリフでこんだけ行数さくなんて・・・いいや、きっとオスカル様は許してくれる。それほどオスカル様だって、感動し、心を動かされたに違いないのです。だから、・・・こういう決断をした。
(注・この雨濡れ演説の間、オスカル様ったらショワちゃんの胸ぐら掴んだままだったのね!あとで判明。)
「聞いたかジャルジェ准将、やつらは好きで雨の中にいるんだ、私の責任ではないぞ」の高笑いに、オスカル様ついにキレましたぁ〜!!
つっ、ついにショワちゃん背負い投げ!!メインテーマ変奏・・・もういくつめのバージョンだったか忘れました、とにかく「勇敢なバージョン」が流れる中、「衛兵諸君!すぐに正面の扉を全て開き、議員の方々を会場へご案内しろ!!」オスカル様の右手の指揮の感じがいいですねえ。
アラン「ようし、キタァ!」待ってましたと言わんばかりに走り出す「衛兵諸君」を横目に、キョトン&きょろきょろ、のアンドレに注目です(笑)・・・うわ・・・オスカル、またやっちゃったよ(汗)って感じでしょうか。
アランの「ひゃっほう!」には私たち視聴者も笑顔になって、一緒に参加してる気分になっちゃいます。ショワちゃん、なんとか自力で起き上がったはいいが、声ひっくり返っています。「そんな気はありませんよ、ラボーム大佐。落ち着いてあの群衆をよく見たまえ。これ以上雨の中で待たせたら暴動が起こる。私は警備の責任者として、不慮の大事故が起こらないよう処置をしただけだ。いいか、そうブイエ将軍に報告したまえ!!」とオスカル様、んもーー冷静でいながらおっそろしいほどの迫力でございます。ショワちゃん老けて見えるけれど(実際はるかに年上だろうけれど)大佐だから、オスカル准将のほうが位が上だもんね。
この辺りのオスカル様・ロベピ・ショワちゃん・民衆・アラン以下衛兵隊員・・・の複雑な思いの交差のしようといったら・・・オスカル様の判断までの心の動き、完全に漫画もアニメも超えているな・・・すっごい世界を描いちゃったな・・・全国のちびっこたちがついていけてるか心配です。とにかく「オスカル様は自分の信念に従って、ただしいことをしたんだ。胸を張ってしたんだ」ということを大局的に捉えてくれればまあOKかな、という感じはしますが、大人になって社会の軋轢を感じてからだと、一層このシーンは重みをもって響きます。
 
もはや手遅れです。すでに200人の貴族・僧侶が平民側の「国民議会」に加わっています。退場を言い渡した弱々しい国王、あんたにはもうなんの権力もありません。議員たちは居座ることを決意。「なに?謀反人めが」のブイエ将軍の一言、これは反旗を翻した平民議員のみならず、命令に逆らったオスカル様個人を指した発言かも、と。ショワちゃん、早馬でブイエ将軍の伝令を伝えにオスカルの元へ戻ってきます。警備しなければならないはずの隊全員を率いてブイエ将軍の元へいけとは・・・アランの「嫌な予感」は的中します。「おいアンドレ、お前、一緒にくっついて行って様子を見てきな」って、適切な采配だと思いましたね。何かあった時のことを考え、オスカル様の側にはアンドレが、衛兵隊員たちの側にはリーダー格アランが残る、というのは、非常にまともな判断です。
ーーーがあっけなく部屋の中にはオスカル様だけが、アンドレは廊下で待機。慣れっこだけどね。
B中隊の任を解く。独断で扉を開けたのはブイエに対する命令違反で、本来なら軍法会議のところをこれだけで許してやろうというのだ(ありがたく思え)なんて言われてひるむオスカル様じゃあありません。「私は軍法会議など怖くはありません」ここで過去幾度と切ってきた「父の友人カード」を相手が使うのですが、はねつけたのはオスカル様のほう。その上新たな任務「議場に居座る平民議員どもを武力をもってしても追い出せ」を断固拒否。ここに反逆罪で逮捕されることに相成りました。
 
18分21秒。ブイエ将軍直々に、オスカルの代わりに命令にいくのを黙って見つめています。「みたいんだ、私の部下たちがどう受け止めるか」とーぜん、アランの反発にあいます。「待てよみんな!俺たちオスカル隊長を待つと約束したんだ、戻ってくるまでここを動くんじゃねえ!」相手が陸軍最高司令官だろうが何だろうが、「俺たちに命令できるのは俺たちの隊長だけだ!」泣かせるねえ・・・1年前のあの頃を思えば・・・これが隊員たちとオスカルが築き上げてきたものの形なんです。
まっさきに「アラン班長とここに残る」といったのは、かつてオスカル様のおかげで命拾いしたラサールくん。あんた、義理堅い男だよ。それでこそ衛兵隊だよ。ってなわけで、アラン+部下11名=計12名が命令拒否。
ここ、原作ではオスカル様、二階の窓からその様子をみて、連れて行かれる12人の名を大声で呼びます。「わたしがこの手で、この体で直接訓練した兵士たちだ。ありったけをぶつけて!すっぱだかのこころで飛び込んで。喜びも苦しみも悲しみも、すべてをともにしてきたわたしの兵士たちだ!わたしの部下だ!」と、涙をこぼしながらまっていろよ、必ず助け出してやる・・・!と歯を食いしばります。ほとんど高卒ぐらいしにか見えない若々しい隊員たちも、「隊長ーー」とわんわん泣いて連れて行かれるシーンです。
アニメ版ではこのように大騒ぎすることなく、ただオスカル様、黙ってその一部始終を見つめています。部屋に戻ってきたブイエ将軍、
「隊長が隊長なら部下も部下だ、まったくよく仕込んであるわ・・・」「どこへ連れて行ったのです私の部下を」「アベイ牢獄だ」全員銃殺になるという。
オスカル様はここでもまだ非常に冷静です。曰く、自分への処分があれば、部下12名に対する銃殺は過ちであると。ブイエ将軍は「見せしめ」にして軍紀を正すといいます。
またもう一点、オスカル様は議場への武力介入について、フランス史上ゆるされざる汚点になるだろうと厳しい言い方をしていますが、これに対してもブイエ将軍、居座るほうが汚点であり、心配無用「近衛がやる」(平民たちの排除を)と。
 
「近衛」と聞いて、オスカル様、実力行使にでます。チョーップ&ひじてーつ。しかし3対1ですからね。こんな時のために控えていましたアンドレ、出番です。今回はテレパシーではなくて、実際に扉一枚隔てた向こうから、自分の名を呼ぶオスカル様の声が聞こえます。とりゃあっ、と入ってみたところ、オスカル様が3人にやられているではありませんか。中で何があったかはしらんが、俺のオスカルに指一本でも触れてみろっつーの、ということで銃を奪って、ダッシュ!目指すは議場です。オスカル様、馬を走らせながら手短にアンドレに事情を説明します。「何としても近衛が会議場へ突入するのを止めなくては!!」その頃、すでに陸軍最高司令官よりのお達しで、姿勢正しく麗しく、ジェロ様率いる近衛が、議場へ向かっております・・・・
防ぐんだ、何としても、何としても!!・・・・というところで、続く。こりゃあ来週まで生きたここちがしません。