Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

アニばら第29話歩き始めた人形 Une poupée qui apprend à marcher

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英語版タイトルは「A Marionette starting to walk」人形=マリオネット、より仏語のプペ、は可愛らしい響き。英語版が直訳なのに対し、仏語版は「歩くことを学ぶ人形」という表現になっており、人形は女性名詞です。

ここから物語は否応なしに後期へ。舞台は衛兵隊、そして民衆サイドへとノンストップで「その日」へ向けて走り続けます。
 
そりゃジャルパパもびっくりです。アンドレ、白鳩に餌をやっています。二人の間に差し込む朝の光が大変美しい。アンドレ、静粛〜なムードです。だってまさかね、昨夜あんなことしちゃっただなんてね、おとーさまに言えるわけないですし・・・
ナレーションもなかなか聞かせます。1777年4月1日付、オスカルさま32歳、18年間勤めた近衛を辞めて初の他部署への異動相成りました。
 
最後の閲兵式。「ありがとう、一糸乱れぬ素晴らしいものだった」と手袋を外すオスカルさま。もうジェロなんて、聞かされたのは当日の朝になってから、とかそれぐらいだったんじゃないでしょうか。「連隊長!どうして急に我々をお見捨てになるのですか?我々に何か落ち度があったのではないでしょうか」ーーーあー、こんな従順な、礼儀正しい、ノーブルな部下を失うなんて私なら耐えきれないな・・・ましてやジェロは第1話、14歳のあの日から18年間、近衛での職務生活全てを共にした右腕。単に忠実な部下という以上に、二人はは厚いリレーションシップで結ばれ、数々の危機を共に乗り越えてきた。今日、近衛のオスカルがあるのはある意味ジェロの副官としての働きが支えたとも言えなくもないのだ。お互いにとって、職務上、信頼と尊敬を寄せ合えた数少ない人間・・・。それを何の説明もなく、突然去られるジェロ以下側近としては「見捨てられた」以外の何物でもないだろう。ジェロにしたって、尊敬もし、支えてきた上司が「ずっと格下の下品な部隊」に行くと知っては、そんなところへみすみすオスカルをやるわけにはいかない。栄転ならまだ納得できるものの。有無を言わせぬオスカル「私の後任にはお前を推挙した」推挙って言葉は、一応アニメを見ているお子様層を考えるとちょっと難しかったと思う。せめて「押してある」とか「頼んでおいた」ぐらいに和らげたほうが良かったんじゃないかな。この繰り上げ昇進は当然のように思うかもしれないけれど、オスカルの後釜に他から新しい隊長を異動させることだって人事的にはあり得るわけだし、またジェロのことを考えても「どうしても隊長が行くというのなら、私も近衛を辞めてついていきます」などと言いかねないジェロのことを考えて、ここに「自分の代わり」という新しい責任を与え(となればそれを全うせざるを得ないジェロの性格も分かった上で)留まらせたのではないか。
 
オスカルとアンドレ、「あの日」以来の初顔合わせか。完全無視ーーと思わせや、馬にのって背中を向けて顔を見ない状態で声をかけるオスカル様。「この前のこと、怒ってはいない。だが記憶にも留めない」このフレーズ、初回にちょっと違和感を感じたのは私だけ?2度、3度と繰り返して見ているとひっかからなくなるんだけれど、初めて見た時、「だが」ってなんで逆接の接続詞なんだろうって。字幕でも特に「but」とか「mais」(仏語の「しかし」)とか使われていないよ?? 何度目かにじっくり考えてみたのだけれど、フツー、この文章の構成は「怒っていないし=(その上)記憶にも留めない」並列関係なんですよね。例えば「怒っていないよ《でも》許したわけじゃないよ」とかなら、逆接の接続詞でもしっくりくるわけなのですが・・・・ああ、なんとなく書いているうちにわかってきた、この違和感。
つまり後半の文章が「記憶にも留めない(無かったことにしてやるよ)」って言っているから、文法的に少し「えっ?」って印象の、ちょっとおかしな一文になっているんだと思う。
 
オスカル様、より男として生きたいといいつつフェルゼンから逃げ、アントワネットから逃げ、貴族社会から逃げ(それはこれまで彼女を守ってきたものでもあった)近衛からも逃げる。アンドレと距離を置くのもまたその事実(自分が女である)から逃げ・・・やってることは一緒なのよね。これに対して、原作とは違う展開を見せていくのがアンドレ。彼だけが「逃げ」なかった。もちろん、深く反省はしつつ、例の一件で一層開き直っちゃった感さえある。行け行け!アンドレ!
 
6分30秒、ノルマンディーへの傷心旅行。いつの時代も、恋に傷つき愛に疲れ果てた者がやることは一緒なのね。孤独の上塗りをするだけなのに・・・
ナレーションも解説し過ぎの感もあるけれど、アニメオスカル様があまりに無口なもんで、こうでもしないと彼女が何を考えどう思っているか視聴者にさえわからなくなりそうなのだ。ーーーかつてオスカルがフェルゼンに向けた愛と同じだから、アンドレの気持ちは痛いほどわかる。だからできるだけ顔を合わせまいとオスカルは思ったーー(byナレーション)ってことらしいけど、逃げて、保留しているだけ。その間に、「行動」したのはアンドレのほうなのだ。
 
7分30秒、この二人の出会いはこの場面一回きりなのに、強烈な印象を残す。セーヌ河畔の吟遊詩人のところへ酒に酔ったアンドレ、腰をかける。あくまで行きずりの関係だがーーー二人の命日は一緒なのよね。
「あたしゃ足が悪いけど、あんた目が駄目らしいねえ」とチラ見すらせずに見抜くおっさんの凄さ。そういうあんただって独眼竜政宗モードじゃない。「それに恋にお悩みだ」完敗です。この世の全てを、フランスの未来までをも見通すマジカルじいさん・・・伊達に歳くっちゃいません。さてアニばら屈指のオリジナル名台詞。
「人はこの世に二つの光を見る。一つは陽の光、星の光。目さえありゃあみえる光さ。そしてもう一つは人の心と希望の光。こいつは目があるだけじゃみえやしねえ。でも必要なのはこいつのほうさ。こいつさえありゃあ生きてゆける、とことん落ちても生きてゆける」
おっさんもまた涙を流しています。どんだけ底辺を這いずりまわってきた人なんでしょう、ううっ(涙)
「心だよ、兄さん。愛し合うのは心と心だ。目なんてやつぁ、飾りみてえなもんさね。元気だしなよ、元気だしなよ兄さん・・・・」
アンドレ、生涯幾度となくこの言葉に勇気づけられたと思いますが、我々の中にも座右の銘としている人は多いのではないでしょうか。このおっさんのこの言葉に会えただけで「生きていてよかった・・・」そう思った人だって多いはず。中学とか高校の卒業文集に「好きな言葉」とか書くと思いますが、これ書いたツワモノがいたら今頃どこでどう生きているか、会ってみたいものです・・・。
 
アンドレ、おっさんに人生心の書をもらい、それを噛みしめようととりあえず酒です。ひとり二次会です。
と、やってきましたいつかの男、衛兵隊のアランです。男同士、一度飲んで歌って殴りあった仲となりゃマブダチも一緒。「なにしけた顔してやがる、もっといいとこ連れてってやるぜ」って、明らかに過去29話に登場しなかったタイプの男臭さを漂わせ、何とまあ勤務中。ドアの向こうに見えるのは後からわかったのですがダグー大佐?なるほど。だからこの後の話が、とんとん拍子でその場でまとまっちゃったのね。(それにしても大佐の目の届くところで居酒屋に入られては副官もなめられたもんですねえ・・・それが俺たち衛兵隊♪)
 
10分28秒、衛兵隊 隊舎。着任日の1日前です。オスカル様の軍服が青に!!こう見ると、前期(白)→中期(近衛連隊長・赤)→後期(衛兵隊長・青)とトリコロールで移り変わっている・・・って後付けですかね(笑)アニメ版でしか楽しめないプチ発見。おかげでこれ以降、画面から一切の華やかさが失われ、寒色系で覆われた、さむざむしい色彩の中、オスカル様の孤独が際立っていく、という効果を発します。
抜き打ちで前日にやってきた新隊長、隊員たちは酒に、トランプ遊びに、だらしない服装のまま興じています。あわてて形ばかりの整列をしてみたものの・・・そこでオスカル様、見慣れた顔を発見!目が飛び出しそーになっています!!さっそく司令官室に呼びつけて、怒鳴りまくるオスカル様。「だから供ではないよ、オスカル」原作ではジャルパパに言われて衛兵隊入りをしますが、アニメアンドレはあくまで自分の開拓したルートで、自らの意思で、正規に隊員としての入隊手続きを踏んだのです。「お前を守れるのは俺だけだ」ーーーよく言ったよ、アンドレ!!ここからはその路線で突っ走ってくれ!そう考えると、こういうきっかけとなったあの《ブラビリ事件》もむしろアンドレ、よくやってくれた、という感じだ。遅すぎたくらいだ。
以降、二人はますます対照的な行動に出る。アンドレは詩人のおっさんからもらった「心の光パワー」でオスカル様から死んでも離れず守り抜く覚悟を決める。逆にひるむのはオスカル様のほう・・・ってもはや原作とは別物の、すごい構図になってきました。今後の展開、どこまでついていけるか、問われているのは我々視聴者のほうであるみたいです。
この時、初めてアンドレはオスカルに「隊長!」と言って敬礼して出て行きますが、考えてみれば人生で初めてだったんじゃないかな。だってこれまでどれだけ一緒にいようと、近衛隊員であったわけではないのだから、近衛で一緒に活動している時も「オスカル」と呼んでいたはず。
 
12分、アンドレが戻ると、隊員たちは女隊長の噂で持ちきり。面白くねえわな、と荒々しい隊員たち。
13分、2人ペアで歩哨へ。アラン&アンドレ、星空の下シーンのアランの会話の進め方といったら。これまで登場した宮殿関係者では決していないタイプの思考回路の持ち主。アンドレへの探るようなセリフの一つ一つ・・・こいつぁもしかしたら大した男なんじゃないかと、衛兵隊の中でもリーダー格であることは容易に想像がつきます。が、まだここではお互いがお互いの腹のうちをさぐりあっているような段階で。味方とするか敵とするかーーー場合によっては・・・というところ。ただ「人にはそれぞれ言えねえ事情ってのがあるからな」なんてあたり、アランの並々ならぬ人間力、言いたくないことは言及しない男同士のルールを感じます。
 
出勤の朝。ジャルジェ家を出る時、ばあやに「アンドレはアンドレ、わたしはわたし、いつまでも子供じゃない」とオスカル様。
15分24秒。これまでにも増して雑務の多くなるであろうオスカル様。今後はこのようなデスク姿を見ることが多くなります。これまでは優秀な部下たちが、オスカル様が指示する前にスムーズに片付けてくれたあれこれを、全て一人でこなさなければならなくなる・・・ってか、ダグー大佐、あんた何をしてる??
さて、新任の閲兵式を行うはずが「B中隊全員、新隊長の閲兵を拒否するそうだ。女の隊長の命令は受けたくないそうだ」(byアンドレ)とのこと。宿舎へ向かったオスカル様を一本のナイフがお見舞いするわけですが、「ドアをノックしろだと?そういう言葉は礼儀をわきまえた者のいうことだ!!」とそのナイフでシャツを引っ掛けてベルトへザクっ。生きているうちにわたしも一度は誰かに披露してみたいものです。
で、すったもんだの挙句「腕に覚えのある奴は練兵場へ来い!!」となるわけですが、第一候補者のリーダー、アラン、「女は相手にしねー主義なんだ」そうで。顔キズ巨大男が取り急ぎ代表に。なるほど、「荒っぽさをうるだけのことはある」、腕は確かだけれど、明らかにオスカル様の方が上。勝負あった後もやめときゃいいのに襲いかかろうとする巨大男、オスカル様は見もせずに一撃を食らわす。単純な男どもは怒りをあらわにしますが、そんな中、アランだけが一人、ルールを守り、負けを認めて全員を制します。というか、彼だけが、このオスカル隊長が「ただの女」じゃないことを、この時点でうすうす感じ取ったのだと思う。閲兵式だけはやってやろーじゃねーか、と。
 
・・・・・で。突如わたくしごとで申し訳ないのですが、ここで私、胃の痛みが最高潮に達して、耐えられずビデオ止めて胃薬探して飲んだのですが(普段あまり薬は飲まないようにしている)、アニばらみて、あまりのストレスのために胃薬のんだ人っていますか??ああ、あと3分の我慢なのに・・・ううっ。もうオスカル様の先が思いやられて、・・・ううっ。胃が・・・。
 
で、アニメに戻って、ええっと、なんでしたっけ、アランが、そうそう「給料のためさ、食うためさ」とかなんとか言って、夕暮れの中、大幅にスケジュール押して閲兵式無事行われましたーーー(ふう)風に髪をなびかせ険しい表情のオスカル様、決意硬いアンドレ、あいつ何者だと言わんばかりの鋭い目つきで睨んでいるアラン・・・3人のアップがうつります。
 
初日勤務を終えて我が家に帰宅してみれば、お客様が待っているという・・・ってきゃー❤︎ジェロ様。しかも私服ではないですかっ❤︎
この礼儀正しさに、オスカル様の激疲労も、ストレスも、私の胃の痛みも安らぎました・・・
「近衛で何か困ったことでもあったのか?」オスカル様っ、1日眉間にしわを寄せていらっしゃったのが、いま一気に和らぎました〜。
自分を慕ってくれる可愛い部下です。ワインの一杯でも飲んでいけと私でも言いたくなります。
が、ジェロさま「あなたの笑顔をひとめ見、今宵は満足でございます」とはどういうこと?
なんとばあやによると、ジェロさま、ジェルパパにこう言ったんだそうな。
ーーーお嬢様をいただきたい、とーーーーー。
 
胃・・・胃がっ・・・