Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

アニばら第27話 たとえ光を失うとも… Même si je perds la vue

 

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英語版タイトルは「if I lose the light」で原文まま。 仏語版だと光ではなく「視力を」失うという表現になっています。フランス語で光=lumièreですから。対して英語の「視力」はSightになるのかなと。いずれにせよ、日本語タイトル、いいですね。萌えます。

 
嫌な予感が的中しアンドレの目をやられた、ところで前回終わっていますが、その後オスカル様、ジャルジェ家までどんな思いでアンドレを連れ帰ったのか。自分の馬に乗せて一刻も早くと走らせるも、彼の顔からは血が滴り、白馬を赤く染めて・・・想像するだけで心臓ばくばくします。朝になって目を覚ましたアンドレ、「黒い騎士はどうした?さんざん苦労してやっとつかんだチャンスだったのに」が一言目ですよ・・・それだけで泣けるのに「お前の目でなくて・・・良かった、本当に・・・」この声が上手すぎて(涙)原作のオスカルはこのセリフのあと、たまらず廊下に駆け出し、階段の手すりにすがっておいおいと泣きます。自分のせいでこんなことになって、と悔やんでも悔やみきれない。あのシーンは本当に辛くて、悲壮で、やりきれません・・・。アニメでカットされているのも、かなり冷静なオスカル様像に変更されており、原作に比べ、感情に左右されない人物像になっているゆえ。従ってアンドレの「よせ!武官はどんな時も感情で行動するものじゃない!」という名台詞も、登場しません。
 
さて黒い騎士、いくらなんでも剣で相手の目をやるとは、ルールを知らない男です。アンドレと互角に張り合ったように見えても、正当な訓練は受けていない自己流です。権力と武力を持つ者は、その使い方をもよく心得ているはず。(例えばオスカルがドゲメネの「子供を撃った憎きその手」にだけ制裁を加えたように)黒い騎士、少しは「やってしまったあいつの目」のことを考えたり、罪悪感とまでは言わなくとも良心が咎めるぐらいのことはあったでしょうか?原作でもアニメでも、彼がこの件に関して反省した様子って触れられてないんですよね。懲りずにジャルジェ将軍監督下の銃200丁を奪います。「新しい時代のためには一時間の演説よりも一丁の銃を必要とする!」黒い騎士チーム、平民ながらなかなかのツワモノを揃えました。ジャルパパの困り果てた様子とアンドレの仇討ちにオスカル様、単身パレロワイヤルに乗り込みます。正面切って正式訪問。オルレアン公との挨拶シーンで、窓の外、白い鳩が飛び立つのは、ささいな演出ですが何度見ても素敵。
地下のきな臭いサロンに潜り込みます。若い法律家、芸術家、新聞記者たちに開放している自由な空間とオルレアン公は胸を張りますが・・・。オスカル様のラテン語は相当なもののようですが、ジャン・ジャック・ルソーを読めと言われます。アニメ版ではその書物を読んでいる描写は描かれませんが、原作では実際に社会契約論を読んでいるところを父に見つかり、殴られます。でも「優れた書物は時代や階級を超えて人の心を打つものです。書斎にいる間は一人にしていただきたい」とか言うんじゃなかったっけ。あのセリフ、文字で読むとずっしり響くんですよね。なにせ、この『ベルサイユのばら』という物語自体が、今から40年以上も前に書かれたとは思えず、歳を経て読むたびに、違った感情を私たちに与え続けているから。
 
話は戻って、地下のワインカーブへ誘い込まれたオスカル様。2日もお戻りにならないんだよ・・・ってばあや、1日戻らなかった時点でおかしいと思って下さいよ!!
11分、アンドレ包帯を外してパレロワイヤルに乗り込みます。うまいこと仲間?から鍵を奪って(その時、腰の拳銃(武器)も用心のため頂いておくべきだろうと余計なことを考えているのは私だけ?)首折られなくてよかったねー。その後本物(←汗かいてます)を生け捕りにし「銃をすてろ黒い騎士。今度は私の番だ」と銃を後ろから突きつけるオスカル様の小さな、ささやく脅し声が、冷静なだけにおっそろしー。田島さんの演技力の幅に脱帽です。
 
黒い騎士もなかなか勘は鋭いようです。少なくとも馬鹿じゃありません。「うてやしないさ。お前は貴族の中でも上等な部類だ。武器を持たないものを背中から打つような人間ではないと踏んだ」人間を観る眼があります。こいつ、ただもんじゃない・・・。まっ、奴の本職なんですけれどね(笑)
しかしここばかりは、そのプロの眼も見誤ったようです。「それは相手によるぞ」アンドレの片目から光を奪った奴に容赦はありませんでした。
 
仮面を剥いでみれば、見覚えのあるこの顔。パリの居酒屋でも、法廷でも見かけているこの男。
ベルナール・シャトレ。1760年生まれ、「ヴィユー・コルドリエ」の記者。以上がオスカル様の調べで、オスカル様より4歳ぐらい年下ということになりますね。ベルナールには実在のモデルがおり、カミーユ・デムーラン(Camille Desmoulins)といいます。ジャーナリスト兼政治家としてフランス革命期に活躍した主要人物です。史実でも1760年3月生まれ、ロベスピエールとはルイ・ル・グランの同級生です。演説で市民に武器を取らせたのもこの人。ヴィユー・コルドリエ(Le Vieux Cordelier )は、実際に発刊されたのは革命後の1793年12月ですが、ダントン派の機関紙で、デムーランは編集長も務めています。
 
オスカル様、「肩口を狙ったつもりが心臓の近くを貫いている。動かすと危ないと医者に言われた。私のたまで死んだとあっては少々寝覚めが悪いからな。ただそれだけだ。死にたければ動き回るがよい。それはお前の自由だ」ってけが人に容赦ないセリフっぷりが素敵です。
原作のベルナールはジャルジェ邸でかなり暴れまくり暴言吐きまくり、可愛い一面もあったりするのですが、アニメのベルナールもオスカル様がこの調子で描かれているので結構シリアスです。居酒屋でいいそびれた「王妃の犬」、やっとここで言ってくれましたか(笑・アニメ版では客にこのセリフを譲ってしまいました)
オスカル様「犬と盗っ人か、どっちもどっちだな」と余裕のお答えぶりです。
 
19分、ついにアンドレの左目、完全失明の宣告を受けます。オスカル様、今度は激情のままに、眠っているベルナールに(よくみるといい男❤︎)剣を抜くのですが、アンドレに止められるまでもなく、手にかけることはできませんでした。ベランダに出てもたれるオスカル様に、アンドレ「俺にはまだ左目がある。実際にはまだ何も失っちゃいないよ」。あの男を当局に引き渡すつもりか?と聞く。
アンドレ「今飢えているのは民衆だ。我々には何もできないが、彼ならば民衆のために何かする」
オスカル様「お前の片目を奪った男を助けようというのか?許すというのか?」
この後のアンドレのセリフも非常に重く苦しいです。ーーー頭がどうかしちまったらしい・・・貴族に雇われているということを時々忘れてしまう・・・
21分、オスカル様、父上に「あれは人違いでございました」。そしてベルナールとの『商談』に入ります。この時の「よし、それでは商談といこう」の「よし」の言い方、好きなんです・・。すみません、個人的な萌えどころで・・・。
 
馬車に乗せて、ロザリーの元で養生するよう、送るオスカル様。「礼をいうならアンドレに言え」「アンドレ?」「あいつ、お前以上に黒い騎士らしい男だったかもしれん」22分、このセリフの後、「やさしさの贈り物」のラスト部分が短く編集されリピートなしでじゃじゃん、と締められます。珍しいタイプの使い方だったと思いますが、この回のラストの印象は、どこか爽やかな余韻を残します。
 
次回、第28話がアニばら史上、今だ語り継がれる屈指の名作回になるとは露とも予想できずに・・・