Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

アニばら第7話 愛の手紙は誰の手で Qui a écrit la lettre d'amour ?

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英語版タイトルは「who wrote the love letter?」です。時制と冠詞が簡単でいいですね。
今回はいよいよ、北欧のプレイボーイ、もとい貴公子、フェルゼンとの運命の出会い?ってやつです。
まずは鍛冶場の王太子のオタクぶりから。
あれ?デュバリー、まだいらしたの??
 
季節は秋でしょう。キツネ狩りに行く王太子とオスカルの背景が紅葉で赤・黄に染まっています。
誰にも打ち明けられない悩みをオスカル様にだけ告白する王太子。「は?」の一言のオスカルも、なんかいい。
王太子ご夫妻をお守りする近衛兵でございます」と卒のない返答ぶりのオスカル様。
「お気の毒な殿下…」殿下の優しさは他人には理解されまい、といって、オスカルは自分のことのように胸をいためる。
まったく、なんてやつだ・・・オスカル(おっと、このセリフは次回第8話のフライングでしたっ)
冗談はさておき、オスカルという人格者をよく表すエピソードを差し込んだアニメ制作陣、さすがだと思います。
 
オスカルって、西洋人でありながら、どこか東洋の「徳」にも似た性質を身につけている、と思うのは私だけだろうか。
自分より相手を思いやる心、他人を立て、自らは謙譲する姿勢、「仁」という言葉にも近いような。
フランス語やフランス人の思考にはそのような表現や近い感情がそもそも存在するのだろうか?
フランス語辞書で「仁」を引くとcharite, bienveillance。これはどちらかというと「隣人愛」「思いやり、優しさ」
「慈善・施し、奉仕」といった意味合いになってしまう。bienveillanceに至っては「厚情」「博愛心」みたいな訳で、いわゆるボランティア精神=慈善的な意味も含まれてしまう。
wiki先生によると徳とは「人間の持つ気質や能力に、社会性や道徳性が発揮されたものである。 は卓越性、有能性で、それを所持する人がそのことによって特記されるものである。人間に備わって初めて、は善き特質となる」のだそうだ。
ギリシャラテン語に由来するならもともとそのような資質は西洋人にもしっかりと存在していたわけで、
フランス語で伝えられないことはないはずなのに、なんだか、どの単語を使っても、しっくりこないような気もする。
オスカルって、一応物語の設定上は信仰深いキリスト教徒ということらしく。(と、作者がのちに語っていた)
だから、自然と奉仕的な考え方、身を尽くすということをその成長過程において身につけてきたものなんでしょう・・・。
 
さていよいよ仮面舞踏会のパリ・オペラ座です。
彫刻の脇で目立たぬようそっと腕組みをしながら監視体制のオスカル様。はっきり言って彫刻よりあなたのお顔のほうがお美しい・・・。
バルコニーに出たアントワネットと近づく「若造」にはっと気づくオスカル様。
さあ、そのかんばせを・・・のシーンで、ああ、私はいつも吹き出してしまうのですが、恋する二人って、こんなにもバックに星が舞ってしまうものなんでしょうか??もうキラキラと必要以上に輝いて、ああ、そうかこれは少女漫画だったのだと気付かされます。
このあと、有名なオスカル様の「若造、名を名乗れ!」のセリフ、それに応じるフェルゼンの「人に名を尋ねるときは、そちらから先に名乗るが礼儀だと思うが」と毅然と切り返す貴公子の堂々っぷり。名場面でございます。
英語ですと、young,state your name!
「I think etiquette has it that you tell your name first when you ask someone for his name. 」
となるわけで、結構あっさりというか、まあ英語だなあ、としか言いようのない文章でございますが、
フランス語版ではここは
Jeune homme ? Vous avez l'air aussi jeune que moi.. 若造だと?みたところお前も若造と呼んだほうがいい年のようだが。
「La politesse veut que l'on se présente en premier lorsque l'on demande le nom de quelqu'un.」
となります。なかなか味わい深い言い回しですね。北欧の貴公子がいかにもいいそうな感じです。
 
愛の第一幕はふたり自身にも気がつかぬうちに始まっていたのであるーーーとはナレーションですが、要するに、このふたりは一目ぼれってことですね。理屈じゃないのね。
 
フェルゼンにぞっこんのアントワネットを心配するオスカル様。
お前・・・何か気付いたことはないか?とアンドレにたずねるも、フェルゼンとかいう男のことか?程度にしかまだ事態を深刻には捉えていないアンドレ。
「さすが鋭い、女の直感だな!」というのはA women's intution ですが、確かフランス語版では Sixième sens、女の第6感、という訳になっていたのではないかと思います。
「悪いうわさが立ってからでは遅いからな」の「な」の言い方が、田島オスカル、女っぽくていいんです。ちょっと上がるんです。
第1話を初めて見たときは、あ、高すぎるこの声、と思ったんですけれど、田島オスカル、冷静な中にも女っぽさを秘めていて・・・
これがすっかり男の発音の「な」だったら、ここまでときめかなかったかもしれない。それぐらい、一言のニュアンス、
もう田島さんって狙ってやってるの!??って思うほど、うまいんです。
 
さてその頃。我らがジェロ様は夜回り中、こちらも直感を働かせて追跡尾行に出かけます。こういう立ち回りのできる身軽さ、ただのインテリじゃできっこありません。オスカル隊長のもと、ジェロ&アンドレは、尾行センスも磨いているようです。
 
季節は秋・・・ジャンヌの偽手紙はまたも失敗、事もあろうにオスカル様の母君に拾われてしまいます。
フェルゼンを待ち受けるオスカル様、お〜、こわっ。職務となると真面目一本槍、なんにも知らないフェルゼンに
「とぼけるな!」「卑怯者」「愚弄するつもりか?このごに及んで命乞いか?女々しいぞ!」などと、
ありとあらゆる言葉を並べ立て息つく間もなく非難します・・・あーあ、未来どうなるとも知らないで・・・オスカル様よ、おいたわしや・・・
 
そこへ、今回のベストプレーヤー賞・18分21秒でジェロ様が駆けつけます。アンドレと一緒で、なんだか助さん格さん、仲良さそうです。「隊長っ!剣をお納め下さいっ。その手紙はニセモノです!」
いやあ、彼の優秀な部下っぷりも堂に入ってきましたが、もう少し、この3人組のアクションは続きます。
 
偽手紙師のところへ3人で押しかけるも、先に口を封じられていた。3人一体行動は、「アニメ三銃士」のアトス・ポルトス・アラミスもジェラシーのなかなか画面映えする光景であります。もうこの先あんまりみられないのよ、だから貴重なんです。
 
火炎瓶が投げ込まれ、しまった、図られた!と気づくも後の祭り。アンドレが椅子を投げ川に落ちるまでは結構秒数があったと思うのですが、こうなりゃ隊長の一声で全員でジャンピングーダーイブっ!オスカル様、女なのに水に濡れたりして・・・ばあやにしかられますぞ。
3人がこうして危機を乗り越えたり、苦楽を共にしている様子は一種冒険活劇のようでもあり、見ていてとっても嬉しいのです。
 
もう一人の証人もオスカル様の予測通り殺されておりましたが、これは以前、第4話でオルレアン公から頂戴した毒入りワインを使ったものと推測されます。
 
20分、宮殿に立ちすくみデュバリーを待ち受けるオスカル、ジェロ、アンドレの3人が気品高く、大変に神々しい。
ああ、この3人をもっと長く見ていたいーという心理にかられます。
デュバリーと対峙するオスカル。証拠は・・・ないのでしょう、しかしこれだけは言っておきます・・・
「どんな策略からも王太子妃さまをお守りいたします」
言い残し、去って行く一瞬の三人の後ろ姿!!ああ、素晴らしいアニメ演出でございます。
 
枯葉舞い散る中・・・愛の神殿でのアントワネットとフェルゼンの様子を遠巻きに見ながら、
「このまま何もなければ良いが・・・」というオスカルの独白でこの回は終わります。