Chose de parler de la danse ダンスについて語ること

Autoportrait de l'auteur en danse :パリ、ダンス、言葉の敷石を踏みしめて

18日深夜放映 パリオペラ座「夏の夜の夢」NYCB in パリ「バランシン・ガラ」

6月19日(月 )午前0:00~午前4:00 [18日・日曜深夜] NHKプレミアムシアターにて

今年3月に上演されて間もない、パリ・オペラ座「夏の夜の夢」、NYCB in パリ「バランシン・ガラ」(収録:2017年3月18・23日 )が早くも日本放映予定です。

f:id:kotorio:20170617214347p:plain

パリ・オペラ座、バランシン振付「真夏の夜の夢」は、クリスチャン・ラクロワがデザインした華麗な衣装も大変な話題を巻き起こしました。

妖精の女王・ティターニア役にエレオノーラ・アバニャートと、妖精の王・オベロン役のユーゴ・マルシャン。力強いテクニックと個性の持ち主の二人です。情熱的な、オペラさながらの印象深い完成度であることは言うまでもありません。

www4.nhk.or.jp/premium

バレエの巨匠バランシン振付作品です。今年3月のパリ・オペラ座公演「夏の夜の夢」にはアバニャート、マルシャンらのエトワールが登場、ラクロワの衣装と可憐な妖精たちにもご注目。▽1:51~ニューヨーク・シティ・バレエinパリ。バランシンならではの群舞が美しい「ワルプルギスの夜」、ドラマ性溢れる「ラ・ヴァルス」水晶宮の名でも知られる「シンフォニー・イン・C」など魅力を凝縮してお届けします。

こちらはパリオペラ座公式サイトのトレーラーです。

www.youtube.com

◇パリ・オペラ座バレエ「夏の夜の夢」(0:02:30~1:50:00) 全2幕

<振 付>ジョージ・バランシン <音 楽>フェリックス・メンデルスゾーン
<原 作>シェークスピア「夏の夜の夢」

<出 演>
ティターニア(妖精の女王):エレオノーラ・アバニャート
オベロン(妖精の王):ユーゴ・マルシャン
妖精パック:エマニュエル・ティボー
ハーミア:レティシア・プジョル
ライサンダー:アレッシオ・カルボーネ ヘレナ:ファニー・ゴース
ディミトリアス:オードリック・ベザール ヒッポリータ:アリス・ルナヴァン
シーシアス:フロリアン・マニュネ ボトム:フランチェスコ・ヴァンタッジオ
ティターニアの騎士:ステファン・ビュリョン パピヨン:ミュリエル・ズスペルギー
ディヴェルティスマン:パク・セウン、カール・パケット

<合 唱>パリ・オペラ座合唱団 <合唱指揮>ホセ・ルイス・バッソ
<管弦楽>パリ・オペラ座管弦楽団 <指 揮>サイモン・ヒューイット

<舞台美術・衣装>クリスティアン・ラクロワ
<照 明>ジェニファー・ティプトン

皆様、どうぞお見逃しなきよう!!

ラ・シルフィード パリオペラ座バレエ団

ラ・シルフィード (仏: La Sylphide) 初演は1832年3月12日パリオペラ座。全二幕。7月1日からパリオペラ座で上演されますが、私は最もこの役を見てみたかったLéonore Baulacの日に行きます。配役表は、オペラ座公式サイトで発表されています。

f:id:kotorio:20170617210848p:plain リハーサル風景

La Sylphide - Ballet - Programmation Saison 16/17 - Opéra national de Paris

「ジゼル」「白鳥の湖」とともに三大バレエ・ブラン(Ballet Blanc;白のバレエ)のひとつに数えられるロマンティックバレエの代表作です。

初代シルフィードを演じたマリー・タリオーニはやわらかいチュールを重ねた膝下丈のロマンティックチュチュを身に付け、ポワント技術を駆使して踊り、妖精の叙情的で幻想的な世界を表現し自身の名を不朽のものとしました。

振付はマリー・タリオーニの父フィリッポ・タリオーニ。音楽はジャン・マドレーヌ・シュナイツホーファ(タリオーニ版)。
タリオーニ版を観たオーギュスト・ブルノンヴィルが自国デンマーク王立劇場での上演を希望するが叶えられず、ヘルマン・フォン・ロヴィンショルドの音楽に新たに振付けて1836年11月26日にデンマーク王立バレエ団により上演しました。これが、「ブルノンヴィル版」として現在まで受け継がれています。

1972年、パリオペラ座でピエール・ラコットがタリオーニ版を復元(ラコット版)。

《あらすじ》
第1幕
スコットランドの農村、婚約者エフィとの結婚式を控えたジェイムズの前にシルフィードが現れて魅惑的に踊り彼を魅了する。親戚や友人たちが祝福に訪れるが、エフィを愛するグエンは彼女を諦められない。占い師マッジはエフィに「幸福な結婚をするが相手はジェイムズではなくグエンである」と告げ、怒ったジェイムズによって追い出される。
ひとびとが式の準備に出てジェイムズがひとりになると再びシルフィードが現れ、結婚を知ると嘆き悲しみながら愛を告白する。やがて結婚式が行われるが、シルフィードが指輪を奪い去り、ジェイムズは彼女を追って森へ行く。

第2幕
ジェイムズはシルフィードを追うが、触れようとするとすり抜けていくシルフィードに想いが募り、マッジにそれを肩にかけると飛べなくなるというショールをもらい受ける。しかしそれは呪いのショールであり、そうと知らずジェイムズがシルフィードの肩にかけると、背中の羽が落ちもがき苦しみ、シルフィードは愛に後悔はないと告げて死ぬ。そこへエフィとグエンの結婚式の鐘が鳴り、すべてを失ったジェイムズは嘆き息絶える。 

www.youtube.com

現監督、オーレリ・デュポン主演、相手役はマチュー・ガニオという史上最高の「シルフィード」の2014年映像です。(全4回、連続でYouTubeでみることができます)

これぞフランス・バレエの伝統といえる美と技にあふれた舞台は、まさにパリ・オペラ座のお家芸といえるでしょう。この世ならぬものへの憧れをかきたてる、真正ロマンティック・バレエの真髄です。

ドキュメンタリー映画『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』7月日本公開

パリ・オペラ座バレエ団の舞台裏と伝統の受け継ぐダンサーたちの姿を描き出したドキュメンタリー映画、『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』。東京「Bunkamura ル・シネマ」での公開が7月22日(土)とのことです。公式サイトはこちらから。

backstage-movie.jp

「ロパートキナ 孤高の白鳥」「至高のエトワール パリ・オペラ座に生きて」などバレエが題材のドキュメンタリーを多く手がけてきたマレーネ・イヨネスコ監督が、現役トップダンサーたちとその指導者、オペラ座バレエ学校の子どもたちの姿を通し、夢と伝統が受け継がれていく様子をとらえた作品です。古典からコンテンポラリーまで数々の演目が全編を通して登場するほか、押しも押されぬ大人気エトワールのマチュー・ガニオが語るダンサーとしての本音、新作に取り組むレッスン風景、ロパートキナのリハーサル風景なども収録しています。

公式予告編

www.youtube.com

パリオペの日本公演は終了した頃でしょうか。

23歳の若き期待の星、ユーゴ・マルシャンがエトワールに昇格されるという歴史に刻まれる瞬間に日本の観客皆さんが立ち会ったという事実は、パリ在住の筆者にとっても、こころから羨ましい限りです。

公式サイトでは、パリ・オペラ座ガルニエ宮、及びパリオペを代表する新旧のエトワールたちーーマチュー以外にも、アニエス・ルテステュのアップ、また将来を担うこと確実のエトワール候補らの横顔が並んでいます。

f:id:kotorio:20170311053821p:plain

f:id:kotorio:20170311053843p:plain

『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』Backstage 監督:マレーネ・イヨネスコ

出演:マチュー・ガニオ/アニエス・ルテステュ/ウリヤーナ・ロパートキナ/オニール八菜/バンジャマン・ペッシュ/ウィリアム・フォーサイス/アマンディーヌ・アルビッソン/ジョシュア・オファルト/エリザベット・プラテル/バンジャマン・ミルピエ/ジャン=ギョーム・バール/ローラン・イレール/ジェレミー・ベランガール/ステファン・ビュリヨン/ギレーヌ・テスマー

配給:ショウゲート 公開 Bunkamuraル・シネマ 7月22日(土)より

パリオペラ座&英国ロイヤル 夢の共演<バレエ・スプリーム>

f:id:kotorio:20170311042108p:plain

2017年夏、バレエ界最高峰の二大カンパニー、パリ・オペラ座バレエ団、英国ロイヤル・バレエ団の精鋭スターたちが日本で一堂に会するという夢の舞台が初めて実現するそうです。名付けて『オペラ座&ロイヤル夢の共演〈バレエ・スプリーム〉』。この記事を書いている3月現在、パリ・オペラ座バレエ団は日本ツアーで東京滞在中です。

芸術監督のオレリー・デュポンと、この初企画へ出演予定の6人のエトワール、ダンサーたちの出席したプレス懇談会の様子が、主催元である日本舞台芸術振興会(NBS)公式サイトにてアップされています。

(写真左から)ジェルマン・ルーヴェ、レオノール・ボラック、フランソワ・アリュ、ユーゴ・マルシャン、オレリー・デュポン監督、マチアス・エイマン、ミリアム・ウルド=ブラーム、公式サイトよりお借りしました。

記事によると、まず本企画のスーパーバイザーであるオレリー・デュポン監督が挨拶。

f:id:kotorio:20170311043026p:plain「この公演は野心的なプロジェクト。オファーがきて即、お受けしました。私が選んだダンサーたちは美しいダンサーのサンプルのような人たち。英国ロイヤル・バレエ団と素敵な時間をシェアする機会でもあります。ドアを開き、お互いに交流できることは、素晴らしいメッセージとなると思います。

 日本の観客の皆さんには、それぞれの違った流派を見比べていただけるチャンスです。プログラムには、私たちの伝統を代表するルドルフ・ヌレエフの作品もあり、フランスらしいバレエを楽しんでいただけることと思います」

マチアス・エイマンミリアム・ウルド=ブラームは『白鳥の湖』第2幕のパ・ド・ドゥを踊ります。

f:id:kotorio:20170311043115p:plain

「新しい世代のエトワールたちと共演できることは、貴重な経験となると思います。英国ロイヤル・バレエ団はレパートリーもダンサーも特徴的。刺激を受け、外からの視線を感じるよい機会となるでしょう」(エイマン)

「また夏に日本に戻って来られることを嬉しく思います。マチアスはパートナーとして敬愛していますし、彼をはじめ私がちかしく思う人たちと日本で過ごせることを幸せに思います」(ウルド=ブラーム)

レオノール・ボラックジェルマン・ルーヴェ。年末の『白鳥の湖』でエトワールに任命されたばかりの新エトワールカップルです。同企画でも『白鳥の湖の湖』第3幕のパ・ド・ドゥが見られるそうですよ!

f:id:kotorio:20170311043410p:plain

「私たちにとってとても重要な作品。ジェルマンはよく注意を払ってくれる優しい相手役です。素晴らしき美男ですし、完璧なパートナーです」(ボラック)
「私たちのキャリアのシンボルとなる作品ですから大切に思っています。レオノールは非常に優雅で生き生きとして、私を物語世界へ、彼女の世界へと導いてくれるのです」(ルーヴェ)

元エトワールとして、また現芸術監督として、デュポンの発言も興味深いです。
「パートナーというものは、アーティスティックな面でも、テクニカル面でも、また人間的な面でも美しく、素晴らしい組み合わせであることが必要です。今回私が選んだダンサーたちは皆、最高のペアになっていると思います」

f:id:kotorio:20170311044350p:plain

プルミエ・ダンスールのフランソワ・アリュは『レ・ブルジョワ』(コーウェンベルク振付)を踊る予定。
ーー「ガラで何度も踊っていますが、大好きな作品です。メッセージを伝える、人物を伝えることがショーマンなのだと思うのだけれど、この作品ではその部分を発揮できると思います」

ユーゴ・マルシャンは前日『ラ・シルフィード』の主役代役を務め上げ、終演後エトワールに任命されたばかり。
ーー「とても幸せです。昨晩起こったことは目覚めたまま見た夢のよう。一度しかないこの瞬間を日本の皆様と分かち合えて嬉しいです」

初のパリ・オペラ座とロイヤル・バレエの合同ガラ。文字通り夢のような饗宴に、日本の皆様の今夏が羨ましいです。

オペラ座&ロイヤル夢の共演<バレエ・スプリーム>

Aプロ 7月26日(水)6:30p.m. 27日(木)6:30p.m.

Bプロ 7月29日(土)1:00p.m. 29日(土)6:00p.m. 30日(日)2:00p.m.

会場 文京シビックホール 

パリ・オペラ座 新エトワール誕生!ユーゴ・マルシャン東京公演にて任命

パリ・オペラ座バレエの日本ツアーが始まっている中、素晴らしいニュースが飛び込んできました!

3月3日『ラ・シルフィード』。予定されていたマチュー・ガニオが怪我で降板。急遽主役のジェームズ役をHugo Marchand(ユーゴ・マルシャン)が務めました。

前日のマチアス・エイマンの好演ぶりが新聞評などにあったので、これは相当なプレッシャーだろうと。ユーゴ・マルシャンは長身で存在感のある(でもとってもスリムです)ダンサーで、まだ23歳です。

f:id:kotorio:20170311035801p:plain

ジャンプも得意で舞台に華を添えますし、丁寧な足さばき、細やかさに日ごろ定評があります。ラ・シルフィードのようなノーブルかつ古典の主役を彼ならどう演じるか。

この日、相手役は、まさに妖精といった雰囲気の、可愛らしいアマンディーヌ・アルビッソン。初の共演だったそうですが、公式フォトで見る限り、とっても若々しくて、お似合いのカップルですよね。

ユーゴ・マルシャン、将来はエトワール確実の路線を歩んでいる期待の新人です。ぜひ日本の皆さん、要チェックをーーーと思った矢先。

オペラ座の公式サイトを覗いてびっくり。なんと、マルシャンのエトワール昇格が発表されています。任命の瞬間の公式動画はこちら。

www.youtube.com

3月3日の代役公演を無事終了後、カーテンコールで芸術監督のオーレリー・デュポンが登場。逐次通訳付きで、ユーゴ・マルシャンのエトワールへの任命を発表しました。

デュポン、アルビッソン、また私服で袖に控えていたレオノールさんはじめ他のエトワールたちも出てきて、抱きしめ合うマルシャン。動揺もせず、感極まった様子もなく、笑顔で、鳴り止まない客席の「ブラボー」に応える姿はとても堂々と見えますね。(場内総立ちのよう、動画も途中で人の頭で肝心の舞台中央が隠れてしまっていますね)

本拠地パリ・オペラ座ガルニエ宮でなく、海外公演中でのエトワール任命は、マニュエル・ルグリがNY、バンジャマン・ペッシュが上海で、という前例があります。日本では、おそらく初となる出来事だったのではないでしょうか。

デュポン監督就任以降、年末のジェルマン・ルーヴェ、大晦日のレオノール・ボラック、そして3月3日、東京でのユーゴ・マルシャンと、若手がこれで3人、エトワールに昇格したことになります。

デュポンとともに新しいオペラ座の歴史をつくる彼ら新世代の活躍に、ますます目が離せないパリ・オペラ座です。

 

「ピナ・バウシュを読む」を書き終えて

f:id:kotorio:20170301033806p:plain こんな優しい微笑みのピナは珍しい。いつも寡黙で、哲学する人の横顔だったから。でも晩年は常にこんな表情を浮かべていたのでは、と思う。人として満たされた者だけが持つ独特のオーラ。与えたものだけが辿り着く、どこか、あるところ。

拒食症か戦時中の栄養失調の子供みたいに、ガリガリで骨と皮ばかりのピナが好きだった。若いときも、老いてからも。カフェミューラーで見せる、風が少しでも吹こうものなら今にも倒れそうな細い枯れ枝。若いときの写真を見ても、極端に細すぎる体型の持ち主だから生まれもっての体質もあるだろうが、自身でもジュリアード留学中、節約のため痩せてゆく身体をみるのが好きだった、と言っている。

ピナ作品に限らず、コンテンポラリーは決められた型でなく踊り手の内部をえぐり出すもの。だからこそ、より強靭に、プロフェッショナルに鍛えられた真の踊り手の「身体」が必要だという信念は、私は何があっても揺るがない。

ウッバダール舞踊団のダンサーには、目を覆いたくなるような太めやずんどう体型、短い足の者もいる。「多様性」を受け入れたピナとその周りに集う人達。類は友を呼ぶ方式で、日本で愛や感動の安売りが(商業的に)なされることが、私には耐えられなかったのだろう。私にとって芸術は、神が選んだほんの一握りの者たちの宿命であり(本人の意思とは全く関係なく)崇高かつ神聖な、決して土足で踏み入れてはならない領域だからだ。しかしながら改めてピナの肉声を拾い集めてみると、生前語られなかった生身の姿が、少しだけ近づいた気がする。

拒絶のギエム、慈悲と受容のピナ。孤高のギエム、与え、愛し、愛されたピナ。

天地ほどに異なる二人の傑出した舞踊家を比較することなど余りに酷で、ましてや優劣をつけるなど断じてできはしない。殊更、踊り手と振付家という決定的な違いがあるのだが。

「振付とは人の身体で空間をデザインすることです。そしてダンスの物語には精神的な動機付けが重要です」 

ダンス創作の上で必要なすべては、自然にピナの精神に蓄えられていた。彼女は生涯をかけてそれを磨き、周囲に分け与え続けていた、ということ。

「この仕事が私を呼んだ、と思っています。私はそれに従い、以来、仕事が与えてくれる喜びを享受しています。私の創作する作品全ては私が影響されてきたことそのものです」

大きすぎる言葉を使わず、いつも静かな、けれどあたたかな眼差しで人間を見つめていたピナ。今は遠いどこかで、タバコを燻らせているに違いない。

以下は当記事を作成するにあたって参照したフランス語(一部英語)のピナ関連参考文献。日本語への翻訳出版がなされていないものが多く、いつか手がけられたらーーとは思うけれど、遠い夢かな。

Pina Bausch - Histoires de théâtre dansé Broché – 13 juin 1997

Pina Bausch ou l'art de dresser un poisson rouge Broché – 7 septembre 2016
de Norbert Servos (Auteur), Dominique Le Parc, Cécile Delettres (Traduction)

Le Langage chorégraphique de Pina Bausch Broché – 24 avril 2009
de Brigitte Gauthier (Auteur)

chez.pina.bausch.de Broché – 18 novembre 2015
de Jo-Ann Endicott (Auteur), traduit de l'allemand par Mathilde Sobottke (Auteur)

Pina Broché – 18 juin 2014
de Walter Vogel (Auteur), Salomon Bausch (Préface), Mathilde Sobottke (Traduction),

Café Müller (+DVD) (Anglais) Relié – DVD-Vidéo, 23 septembre 2010
de Pina Bausch (Auteur)

Pina Bausch vous appelle Broché – 24 avril 2007
de Leonetta Bentivoglio, Francesco Carbone (Auteur), Leonor Baldaque (Traduction)

f:id:kotorio:20170301033447p:plain 最後に…

このピナの写真を見たとき、一瞬、息が止まるかと思うほど驚いた。私を世界でただ一人愛し育ててくれた亡き祖母の面影そのものだ。私はピナを追いながら、幼少の私を求め、祖母を追いかけていたのかもしれない、と。

ピナ・バウシュを読む その4 京都賞受賞記念講演後半

f:id:kotorio:20170228175726p:plain

異なる国々や文化に根ざした多様な音楽財産が、私たちの作品には欠かせない構成要素となっています。オーケストラや合唱団との共同作業はまた、作品を再演する際に、新しい可能性への好奇心と意欲を呼び起こしています。

・創作手法ーー問いかけによって創り上げるという方法も、新しく採り入れたものでした。すでに『青髭』で、いくつかの役柄のためにダンサーに質問するやり方を始めていました。その後、ボーフム劇場で初演したマクベスの『彼は彼女の手を取り城に誘う―皆もあとに従う』で、この方法をさらに進化させました。

・この作品では、もはや決まりきった動きを用いるわけにいかず、別の場所から出発する必要がありました。私は「質問」、つまり私が常に自分自身に対して問いかけていることを彼らに投げかけました。土壇場から生まれた手法ですが、これらの「質問」は、テーマに手探りかつ注意深く近づく手段です。オープンであると同時に、正確でもあります。「質問」は、私が一人では考えも及ばぬ多くの事柄へと案内してくれるのです。

f:id:kotorio:20170228175802p:plain

・(パートナーでもあった)ロルフ・ボルツィクの死ーー彼の最後の舞台美術作品は『貞女伝説』です。私たちは彼がもう長く生きられないと知っていました。けれど、この作品は悲劇的な痛ましいものではありません。ロルフ・ボルツィクは、愛を求める気持ちと生きる喜びとが共存する舞台を望んでいました。1980年1月、長い闘病生活の末、35歳で亡くなりました。

・ペーター・パプストやダンサーたちが、これほど長い期間、困難な道を私とともに歩み、信頼を寄せ続けてくれることに感謝しています。彼らはみな、輝く珠玉の存在です。それぞれが自分自身の方法や異なるフォルムを持っています。私はダンサーたち一人一人を愛しています。彼らは美しい。私は、彼らの内面がどんなに美しいか、を、お見せしたいのです。

・常々感じていることは、ダンサーというのは舞台上で初めて知ることができるということです。彼らが自分を少しずつさらけ出し、一つの舞台が終わるたびに一人ひとりを以前より近くに感じることができる。彼らから次々と引き出される新しい部分に、私はただ驚かされるばかりです。

・以来、私たちの作品のほぼ全てが他文化との出会いによる共同制作によって生まれています。香港、ブラジル、ブダペスト、パレルモ、イスタンブール。全く異なる風俗、音楽、慣習に接することで、未知ではあるが誰にもなじみのあるものを、ダンスで表現することができるのです。知ること、それを分かち合い、怖がらずに体験すること。

・舞踊団としてもまた私たちは国際的と言えます。異なる文化圏出身の多様な個性が集まっています。どれほどお互いに影響し合い、刺激を与え、相互に学んでいることでしょう。外国へ旅をするばかりでなく、私たち自身がすでに一つの世界です。そしてこの世界は、出会いや新しい経験によって、絶えず豊かさを得ています。

f:id:kotorio:20170228180027p:plain

・結婚、出産ーー私は人がどのように死ぬのかを経験するとともに、人がどのように生まれてくるのかをも体験することになりました。これらによっていかに世界の見方が変化するかということも。子どもがどのように物事を経験するか、子どもがいかに偏見にとらわれることなくすべてを観察するか、どれほど自然や人に信頼を寄せるか。自分の身体とは別に、一人の人間の誕生を丸ごと把握しました。自分が何もしなくてもすべてが起こるのです。こうした体験が、どれほど私の作品と仕事に流れ込んでいるか計り知れません。

・子どもの頃から知っている町、ヴッパタールで30年以上も生活と仕事を続けているのは素晴らしき偶然です。私はこの町が好きです。着飾ったお洒落顏の町ではなく、普段着の町ですから。

・私は以前「私の関心は、人がどう動くのかではなく、何が人を動かすのかということにある」と発言したことがあります。この言葉はよく引き合いに出され、今でも生きています。

・新作初演前の不安は、今でもあります。これ以外の形があるのではないかと迷い、プランも台本もなく、音楽も舞台装置もない。初演日が決まっていて、残り時間はわずかという時、一つの作品を創るのは決して娯楽ではない。もう二度と作品など創りたくないという思いは、毎回味わう試練です。それなのになぜ私は同じことを繰り返しているのでしょう。長年仕事をしてきても、まだ学んでいません。どの作品も再び最初から始めなくてはなりません。自分が到達したいところに決して手が届いていないといつも感じているにも関わらず、初日も終わらないうちから既に次の作品プランを考えているのです。

・このエネルギーはどこから生まれるのでしょう。もちろん日々の修練は大切です。とにかく働き続ければ、突然何かしら、何かとても小さなものが生まれます。それがどこへ行くのかはわかりませんが、誰かが灯す明かりのようなものです。そして再び勇気と元気を取り戻します。誰かが何か美しいものを創ると、人は引き続き働こうという意欲と力を得ます。内側から湧き上がってくるのです。

f:id:kotorio:20170228180202p:plain

・振り返れば、これまで私は、ダンサーやスタッフ一同と長い道のりをともに歩いてきました。私は人生において、特に旅や友人との交流を通して、たくさんの幸運に恵まれました。ですから多くの人たちに、他の文化や生き方と触れ合ってほしいと願っています。お互いを恐れなくなり、私たちすべてを相互に結びつけているものがよりはっきり見えるのではないでしょうか。どのような世界に住んでいるのか、を知ることが大切だと考えます。

・舞台の素晴らしいところは、私たちが普段の生活では全くできない、してはならないことを表現できることでしょう。時には、私たちが未知のものに立ち向かうことによってのみ明らかにされることもあります。私たちの問いかけが、今日の文化圏に関してのみならず、遥か昔の異文化をも、もたらすことがあります。

・つまり舞台上で表現するということは、確かに持ってはいるものの、日常的に認識しておらず、気に留めていない知識を取り戻すことです。すべての人が等しく持っている何かを思い起こさせ、それによって私たちは力を得ているのです。